俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

感冒薬

2016-01-18 10:23:59 | Weblog
 インフルエンザが流行期に入ったと15日に国立感染症研究所が発表した。1月になってようやく流行期を迎えるのは10年ぶりらしい。流行期が遅れた原因は暖冬だ。インフルエンザウィルスも風邪症候群のウィルスも暖かさに弱い。
 インフルエンザが流行り始めると総合感冒薬のCМが増える。しかしどれも訳の分からない内容ばかりだ。
 「効いたよね 早めのパブロン」
 「私の風邪は短期決戦 パブロンエース」
 「熱・喉・鼻にルルが効く」
 「今年の風邪にはルルが効く」
 「あなたの風邪に狙いを決めて ベンザブロック」
 「1に睡眠 2にストナ」
 「ジキニンでじきに治って」
 「風邪に効く コフト顆粒」
 これらのCМでそれぞれの違いが分かるだろうか。ジキニン以外は薬の名前を入れ替えても全然支障が無い。多額の宣伝費を使いながら、信じられないほど無内容なCМばかりだ。一体全体どう効くというのだろうか。
 まるで怪しい健康食品メーカーのように「薬効はあるが薬事法のせいで公言できない」という逃げ口上を使うかも知れないがこれは嘘だ。薬効など元々無い。総合感冒薬に可能なことは「風邪の諸症状の緩和」であり治療効果は全く無い。それどころか、自然治癒力の妨害をし、更には副作用によって毎年何人も死んでいる。健康被害がどれほど出ているかなどは把握不可能なほど多い。メリットとデメリットが正しく知らされていないからこんな有害な商品が市場に溢れている。
 こんな酷い商品が大々的に売られてそれを誰も批判しないとは恐ろしいことだ。政・官・財・マスコミがグルになって国民を洗脳している。これは「みのりフーズ」による廃棄食材の販売よりも遥かに危険な詐欺商法だ。
 風邪の治療薬が存在しないことは公然の秘密だ。市販薬だけではなく医師が処方する薬にも治療効果は無い。だから欧米の医師は有害無益な風邪薬など処方せずに安静と栄養だけを勧める。
 マスコミは医療費の膨張を危機として煽り立てるがその根本原因である風邪薬や生活習慣病の薬については触れない。医療保険制度の立て直しなど簡単だ。こんな無駄で有害な投薬をやめるだけで大半の問題が解決される。医薬業界は国民の財産と健康を飲み干すブラックホールのようなものだ。

お手盛り

2016-01-18 09:44:32 | Weblog
 庶民はルール遵守を強いられる。法律であれ条例であれあるいは様々な施設が定めたルールであれそれに従わねばならない。ルールに不満があっても見直しを申し入れることしかできない。
 中国には「上有政策 下有対策(上に政策あり、下に対策あり)」という言葉がある。これは「ルールに不満があれば抜け道を探せ」という意味だ。ルールが曖昧であれば勝手に都合の良い解釈をしても構わないという意味もある。
 現時点で国会議員に育児休暇制度は無い。しかしルールが無いなら好き勝手にしても許されるのは庶民だけだ。国会議員は立法府に所属する。つまり法の不備を是正することが仕事だ。
 12月27日付けの「育児休暇」に書いたとおり自民党の宮崎衆院議員による育児休暇を評価するのは京都3区の有権者であり第三者ではないと私は考える。だから宮崎議員個人ではなく制度としての問題点を問う。
 育児は殆んどの人にとって避けられないライフステージだ。介護退職が好ましくないように育児退職によって人材が離脱してしまえば企業側が困る。それを防ぐために育児休暇制度がある。つまりこれは終身雇用を前提とした引き止め策であって自由業者には適用されない。個人商店を閉めても何の補償も無いし作家や芸能人が休めば収入が無くなる。
 政治家とは労働者だろうか、自由業者だろうか。多分、自由業者だろう。ではなぜ育児休暇中でも高額の議員報酬や各種手当が支給されるのだろうか。支給を止める法律が無いからだ。宮崎議員はNPOなどに寄付をすると言っているがどこに幾ら寄付するかについては全く明言を避けている。
 ルールに背かなければ合法であるのはあくまで庶民の場合だ。ルールにに不備があればそれを改めるのが立法府の所属員の仕事だろう。ルールが無いからどうしようとも自分の勝手だというスタンスではなく、速やかにルールを定めてそれに従うべきだろう。
 国会議員は立法権を握っている。だからしばしばお手盛りの法律を作る。例えば政治資金規制法は典型的なザル法であり、小沢一郎氏の不正な手口を裁けなかった。初めから抜け道を用意した悪法だ。
 地方議員はまず自分達の報酬を増額して次に手駒である地方公務員の給料を増やした。このためにラスパイレス指数はどんどん高くなった。ルールを作る側の人間は自分達に都合の良いルールを作ろうとするものだ。
 国会議員に関する法律を国会議員が作ることに根本的な問題があるのだが、立法権は国会にしか無いのだからこれを許容せざるを得ない。だからこそマスコミや学者が厳しく監視をしてお手盛りの法律を阻止する必要がある。法の整備をせずに自分勝手な解釈によって利益を得ようとすることはそれ以下の下劣な行為だろう。