俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

官(=菅)と民

2011-04-08 15:17:34 | Weblog
 政府は福島県と北関東の野菜について「出荷するな、食べるな」というメッセージを出し続けている。一方、小売店では福島と北関東の野菜を売って支援しようという動きが広まっている。
 奇妙な話だ。本来、政府が主導して被災地を支援せねばならない筈なのに逆に風評被害を煽ってばかりだ。それに怒った民間企業と国民は政府の方針の隙間を狙うかのように行動している。
 不思議な光景だ。善良な国民と身勝手な政府という構図は普通考えられない。たとえ実際には身勝手な政治家であろうとも善良であるように見せたがるものだ。
 政治がすべきことは困っている人の救済だ。今一番困っているのは東北と北関東の人々だ。それなのに菅首相個人の選挙区である東京都民の安全・安心を守るために福島・北関東の農民は犠牲にされようとしている。こんなやり方では、民主党政権は沖縄県民に続いて福島・北関東の県民まで敵に回してしまうことになるだろう。
 4日には枝野官房長官が「市町村単位で出荷制限の設定・解除を可能にする」と発表したがその後何の進展も無い。会津地方の野菜からはこれまで1度も基準を超えた放射性物質は検出されていないにも関わらず相変わらず出荷停止のままだ。とにかく対応が遅い。鹿野農林水産大臣は一体何をしているのだろうか。野菜だけではなく魚介類の風評被害も深刻だ。なぜ拱手傍観しているのだろうか。

原発事故

2011-04-05 15:43:02 | Weblog
 すっかり原発事故のブログになってしまった。このブログでは理系も文系も、高尚なことも通俗的なことも分け隔てることなく取り上げていただけに不本意なことだがそうせざるを得ない。有史以来、つまり卑弥呼の邪馬台国の時代以来では関東大震災に次ぐ被災者を生み、規模では最大級の天災を目の当たりにして他のことなど書けない。
 そして多分将来、チェルノブイリとスリーマイル島と並んで3大原発事故と呼ばれるであろう福島第一原発の事故にも向き合っている。我々は正に歴史的大災害に直面している。
 分からないことだらけだ。なぜ原発事故に対する対応がこんなに出鱈目なのか、なぜ救援活動はうまく機能しないのか、なぜマスコミはこんな報道をするのか等々。あとからしたり顔で語ることは易しい。しかし歴史的大惨事についてリアルタイムで考え続けて自分に今できることを果たしたい。
 情けないことだが私の情報源はNHKと朝日新聞に偏っている。もっと情報力を高めたいとは思うが自力では情報を集められないのだから信頼性の高い情報源に頼らざるを得ない。危機を煽る週刊誌の記事は興味深いが信用し難い。
 実は私自身は常に様々なことに興味を持っている。その原稿は溜まり続けている。いずれボチボチ公開するつもりだ。

同心円

2011-04-05 15:29:33 | Weblog
 3月29日付けの「安全と危険」に間違ったことを書いてしまった。軽率にも「原発から30km圏外の野菜なら進んで買いたい」と書いたがこの考えは正しくない。放射能汚染は距離だけではなく地形や風などによって大きく影響される。途中に山地があれば汚染はかなり軽減される。同心円で表示することは誤った印象を与える。
 風評被害を防ぐためには汚染度を等高線で表示することも一策だろう。大気中の放射線量や野菜の放射能汚染度を等高線で表示すればどこが危険なのか一目瞭然だ。
 我々は汚染された野菜など食べたくないと思うのと同時に東北・北関東の農家を支援したいと思う。両方のニーズを充たすためには正しい情報を公開することが必要だ。
 正しい情報に基づいて危険と判断された農作物が廃棄されるのはやむを得ない。それは消費者の安全を守るために必要なことだ。
 安全な野菜を誤解によって廃棄することだけは絶対に避けたい。このことは生産者にとっても消費者にとっても更には国にとっても損失にしかならない。食料自給率が低いと嘆く農林水産省は今こそ農家を守るべきだ。
 農家を守ることと消費者の安全を守ることは二律背反ではない。利害は一致する。安全な食品と危険な食品とを峻別すれば済むことだ。情報の出し惜しみと曖昧さが風評被害を生む。

過ち

2011-04-05 15:11:33 | Weblog
 「過ちて改めざる、是を過ちと謂う」(孔子「論語」より)
 1回失敗することは失敗とは言えない。その失敗を糧にすれば良い。
 しかし4度続けて失敗することをどう評価すれば良いのだろうか。これは救いようの無い阿呆としか言いようが無い。
 原発を1度爆発させたことは事故と言える。しかし4棟総てが危機的状況に陥ったことは構造的問題としか考えられない。
 2種類の構造的問題が考えられる。原発に機能上での欠陥があったか、東京電力と政府の対応に組織的欠陥があったかだ。多分、両方だろう。
 放射能汚染水対策も失敗の連続だ。コンクリートを流して失敗して、吸水性ポリマーと新聞紙とおがくずでも効果が無く、入浴剤を流したが流出ルートさえ不明のままだ。時間だけが虚しく過ぎ遂には汚染水放出という事態になった。
 「過てば則ち改むるに憚ることなかれ」(同)
 今回の原発事故を教訓にして大いに改めねばならないことは間違い無かろう。問題はどう改めるかだ。方針を誤れば東電の二の舞で失敗を繰り返すことになる。政党の壁を超えての大連立はいかにも挙国一致のようだが挙党体制さえ困難な菅首相にそんな力量があるのだろうか。形だけの大連立では烏合の衆から更に酷い継ぎ接ぎ内閣になるだけだ。今でも後手に回っている対応がもっと機能不全に陥るだろう。大連立の提唱は責任放棄でしかない。挙国体制の是非については戦前の大政翼賛会の失敗から学ぶべきだろう。

非常時

2011-04-01 15:29:19 | Weblog
 責任者は非常時のために存在する。小さな非常時であれ大きな非常時であれそれに対応するのが責任者の仕事だ。通常時は「良きに計らえ」でも構わないが非常時にはリーダーシップを発揮せねばならない。非常時に対応できない責任者は無能と言えるし、そんな責任者を選んだ組織は馬鹿の集まりだろう。
 その意味で東京電力の清水社長は史上最低クラスの経営者と言えるだろう。16日から1週間ほどはホテルに籠っていたらしいし、29日からは入院してしまった。肝腎な時に役に立たない経営者は馬鹿殿様のようなものだ。
 清水社長が辞任することは間違い無かろうが、こんな敵前逃亡にも等しい責任放棄を認めれば事故の現場で命懸けで働いている方々に申し訳ない。原発事故がここまで拡大したのは無能な社長に負うところが大きい。懲戒解雇でも飽き足らない。刑事責任が問われても然るべきだろう。
 精神的に脆いだけで本当は優秀な人なのかも知れない。しかしこんな人を社長に据えた東京電力という会社は余程人材難なのだろう。人材難の企業に原発のような危険な代物を任せる訳には行かない。
 東電は公益独占事業だから潰す訳には行かず、日航やGMのように国有化されることになるだろう。しかし国有化された後に大きくメスを入れなければこの迷惑な企業体質は改まるまい。

サマータイム

2011-04-01 15:15:06 | Weblog
 節電のためにサマータイム制度を導入すべきだという意見があるが私は反対だ。時差ボケと同じ健康障害を招く可能性が高いからだ。
 人間の体は相対時刻ではなく絶対時刻に対応する。時計を1時間早めても体は本当の時間を知っている。
 フィリピンやタイを旅行する日本人の多くは早起きになる。ゆっくり寝るつもりでいても目が覚めてしまう。それは日本での時刻に体が対応しているからだ。日本で起床する時刻になれば現地での時刻に関係なく目が覚めてしまう。現地での時刻に馴染むには1週間ぐらいは必要だろう。
 サマータイムによって時刻を変えてしまえば生体のリズムが狂う。時刻に几帳面な日本人にはその弊害が出易い。
 時刻そのものを変えずに勤務時刻だけを繰り上げれば済むことだ。それまで9時が始業時刻だったなら8時に変更すれば良い。これなら時間感覚は狂わない。早起きをしているという意識さえあれば生活のリズムは保たれる。
 時刻のような生活の基盤をいじらずに社会の仕組みだけを変えれば充分だ。勤務時間の繰上げなら習慣の変更だけで済むがサマータイムによって強引に時刻を変えてしまえば時間感覚がダブルスタンダードになってしまう。サマータイムを導入すれば睡眠障害に悩む人が増えることは間違いなかろう。それは靴に足を合わせるような愚かな制度だからだ。

福島県民

2011-04-01 14:59:11 | Weblog
 福島県民の皆さんはなぜ怒りを表明しないのだろうか。少なくとも大阪人ならあらゆるメディアを使って怒りをブチまけていることだろう。これは我慢強く温厚な県民性の現れなのだろうか。それともマスコミによる情報操作なのだろうか。
 福島県民にどんな咎があるのだろうか。関東地域に送電する東京電力に土地を売っただけだ。多少の漁業補償などはあっただろうが、受けたメリットと今回のデメリットのギャップは余りにも大き過ぎる。
 問題解決に繋がらない犯人探しなどはしたくないが、一番責任が問われるべきなのは東京電力、二番は菅無能内閣、三番は官僚と自民党長期政権だろう。殆ど罪の無い福島県民が一番重い罰を受けることは理不尽だ。
 民主党は原発の責任を自民党に押し付けることはできない。原発推進の政策を採っていたからだ。悪評高い某元首相などは原発拡大によってCO2を25%削減するとまで公言していた。
 「頑張ろう日本」ではない。「ご免なさい福島県民の皆様」であり「頑張ってください福島県」だ。そんな状況で福島県に対する差別を助長する発言をした菅首相は何様のつもりなのだろうか。関東の住民を安心させるためなら田舎の人間は犠牲になっても構わないとでも考えているのだろうか。人間性を疑う。怒りを表明しない(できない?)福島県民の皆さんに代わって罵倒したい。
 極力、福島県産品を買いましょう。