俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

98%

2011-12-20 15:03:45 | Weblog
 人類とチンパンジーの遺伝子は98%が同じだそうだ。そんなものだろう。脳以外の内臓は殆んど同じようなものだろうし、外見も体毛以外は余り違わない。
 人間同士の遺伝子の差は当然もっと少ない。個体差は約0.1%だそうだ。それでもDNA鑑定が可能なのは異なる部分に注目するからで、昔のDNA鑑定は識別力が乏しかったから誤鑑定も少なくなかった。
 率に注目すればこうなる。しかしDNAの塩基数は約30憶個なので0.1%でも300万個にもなる。塩基3つが1組になるから100万個のアミノ酸が異なるということになる。
 これを殆んど同じと考えるか大きく異なると考えるかは主観の世界だ。それはチンパンジーと人類との違いをどう考えるかと同じような話だ。
 私はベースでの0.1%の差は大きいと考える。後天的なものは先天性によって導かれるからだ。先天性が少し異なれば後天的なものは大きく異ならざるを得ない。もし先天的に音階を理解できない聴覚を持っていれば音楽は理解不可能になるだろうし、色盲の人にとっては絵画の芸術性は全然違ったものになるだろう。
 土台がしっかりしていない建造物が危険であるように、先天性という基礎部分の違いは最終的には大きな違いとなる。

諸手当

2011-12-20 14:48:13 | Weblog
 公務員給与の問題点は本給だけを見ていても分らない。諸手当に注目する必要がある。よく指摘されることだが市バスの運転手や給食のオバちゃんが厚遇されているのは特殊技能に対する高額の手当があるからだ。窓口手当というものまであるそうだ。つまり不特定多数を相手にすることは危険や心労を伴うと見なされている。
 それ以上に問題が大きいのは役職手当だろう。公務員の場合、半分以上が役職手当を受給している。つまり誰でも長期間勤務するだけで役職手当が支給される。出世競争を勝ち抜いた一部の人にしか役職手当が支給されない民間企業とは事情が大きく異なる。40歳で役職手当を貰わない公務員は殆んどいないだろう。余程素行が悪くて問題ばかり起こしている人か病気勝ちで欠勤の多い人など以外は役職手当の受給者だろう。そして一部の自治体ではこういう人を救済するために「役無手当」まであると聞いたら絶句せざるを得ない。
 ギリシアで公務員の給料が問題になっているのも膨大な手当があるからだ。聞いた話なので真偽のほどは定かではないが、本給が20万円の人でも別に50万円ほどの諸手当があるそうだ。政治家と役人が結託するとこんなお手盛りの給与になるようだ。
 戦前の日本では政治家も公務員も公僕だった。少ない給料で公務に励んだから社会に対する貢献度は高かった。今では政治家と公務員は搾取者だ。国民の税金を湯水の如く使う特権階級だ。

やせ願望

2011-12-16 15:14:48 | Weblog
 女子小中高校生の体重が減少しているそうだ。資料の無い戦中戦後を除いて、1900年の調査開始以来初めて全年齢で減少したそうだ。
 スポーツウーマンのように健康にやせているのなら問題は無いが基礎体力も低下傾向を示しているから不健康にやせているのだろう。
 子供の発育が大切なのは知力も体力も子供時代に基礎が作られるからだ。神経も内蔵も子供の内に育成しないと取り返しが付かないことになる。視神経に至っては乳児期に暗闇で育てられた子供は一生盲目になるそうだ。体の基礎固めをすべき時にそれを怠れば一生を棒に振りかねない。
 手足が短くて背の低い日本人が白人や黒人のプロポーションに憧れてもどうにもならない。そのために唯一自分の意志でコントロールできる体重に目を向けることになる。やせることは意志の強さの証明にもなる。馬鹿げた本末転倒の話だ。
 日本人女性のBMI18.5未満のシェアは約12%だそうだ。こんなにやせた女性の多い国はパキスタンやバングラデシュなどの貧しい国だけだ。日本人女性がこんなにやせてしまったのはマスコミが揃って煽り立てるからだろう。芸能人はミイラのようだし、低カロリー食がヘルシー食と呼ばれている。全くヘルシーではないのに。

知らぬ振り

2011-12-16 14:59:45 | Weblog
 知らぬ振りは論争においては便利な戦術だ。ソクラテスの「無知の知」が最も有名だが、知識があるのに無い振りをして相手に話させればその弱点を突くことは容易い。相手が素人だと思えば専門用語を使わずに、多少単純化して話すだろう。知らぬ振りをする側はまるで蜘蛛のように網を張って矛盾を拾い集める。こんなトリックに嵌められたと気づいて怒っても手遅れだ。後から、知らぬ振りをしていたことを証明することは不可能だからだ。知っている振りをする人なら簡単に論駁できる。質問を浴びせれば必ず破綻するからだ。知らぬ振りは論破できない。本人が「知らぬ」と言えばそれは承認されざるを得ない。「記憶にございません」と同様、議論上では非常に便利な言葉だ。
 しかしこれは詭弁術であり実りある議論のためにはお勧めできない。お互いに知恵と知識を出し合って楽しく有意義な議論をすればお互いが賢くなれる。
 この最強の詭弁術を使おうとして大失敗をしたのが一川防衛大臣だ。沖縄での少女暴行事件に関する質問から逃れようとして「詳細には知らない」と言ってしまった。通常なら知っている側に説明責任が移るがこの場合はそうならない。俄か与党の悲劇だろう。与党には説明責任があるのに、知っているべきことを知らないことは職務怠慢になる。

共同幻想(2)

2011-12-16 14:44:04 | Weblog
 最も厳密な学である筈の数学でさえ共同幻想に基づいている。例えばユークリッド幾何学に対して非ユークリッド幾何学がある。ユークリッド幾何学では平行線は交わらないが非ユークリッド幾何学では交わる。どちらを公理にしても数学は成立する。つまり約束事に過ぎない。
 複素数も変な概念だ。普通の数字は二乗したら正数になる。ところが虚数i(=√-1)は二乗すれば「-1」になる。虚数を実生活で使うことは無いが数学の体系を維持するためには必要な概念なのだろう。
 実は数学はもっと根本的な共同幻想に基づいている。「同じ物が存在する」ということを前提にしないと「数」という概念は成立しない。それぞれのリンゴを違った物と考えれば「リンゴ何個」という考えは不可能になる。「犬3匹」も理不尽だ。実際に存在するのはポチとかシロなどの具体的な犬であって「同じ犬」はあり得ない。「人類」も無理だ。存在するのは個人だけだ。
 最も厳密な学である筈の数学でさえ約束事に基づかねばならないのだから他の学は約束事の塊りだ。
 社会も約束事に基づいている。キリスト教徒もムスリムも自分達の約束事に基づいて善悪を判断する。日本人も「日本教」に基づいて判断する。共同幻想に基づく思考は共同幻想の枠内に留まらざるを得ない。

海洋資源

2011-12-13 15:27:40 | Weblog
 中国の漁師が韓国の排他的経済水域で漁をした挙句、韓国の海洋警察官を殺害した。昨年の尖閣諸島沖での衝突事件と同様、中国漁船は最早海賊となりつつある。
 中国漁船が不法漁を繰り返すのは自国領の魚を乱獲したために資源が枯渇したからだろう。資源保護を図らずに早い者勝ちで取り合いをすれば資源が枯渇するのは当然の報いだ。
 同情すべき面もある。中国の排他的経済水域の面積は日本の1/5しか無い。人口が日本の10倍だから国民一人当たりの排他的経済水域は1/50しか無い。
 しかしそんな理由で領海侵犯が許される訳ではない。領海や排他的経済水域は国際ルールでありそのルールは守られるべきだ。領土と同様に守らなければ国際紛争を招く。
 中国船による排他的経済水域侵犯は黄海だけではなく東シナ海や南シナ海でも日常化している。これらは漁船ではなく海賊船だ。海賊を放任している国は中国とソマリアぐらいだろう。
 中国に国際法を守らせることは喫緊の課題だろう。大国の横暴を黙認すべきではない。

禁止

2011-12-13 15:13:03 | Weblog
 NHKは商品名や企業名を出したがらない。宣伝になるからだ。
 それにしても山口百恵さんの「プレイバック・パートⅡ」の「真っ赤なポルシェ」を「真っ赤な車」と変えさせたり南こうせつ氏の「神田川」の「24色のクレパス」を「24色のクレヨン」に変えさせたりするのはやり過ぎだと思う。
 NHKによる検閲を潜り抜けた歌がある。パフィーの「これが私の生きる道」だ。このタイトルには企業名が隠されている。漢字だけを拾えば「私生道」となり「資生堂」の宣伝を狙ったものだ。NHKもこの暗号には気付かなかったようだ。
 法律で禁止すればそれが無くなるとは限らない。より巧妙な手口を使って裏社会の収入源になる。八百長、賭博、売春、麻薬・覚醒剤などは表社会からは消えているが裏社会では蔓延している。中でも売春はソープランドとして半ば公然と営業されている。
 好ましくないことを禁止すればその有害性を却って拡大しかねない。賭博などは禁止するよりもカジノとして合法化したほうが社会にとって有益だとさえ思える。
 暴力団排除条例にも同様の危惧を抱く。社会的にある程度認知されている暴力団が完全に地下組織になったら今よりも危険な犯罪集団になるのではないだろうか。実際にそんな組織が増えているそうだ。
 臭い物に蓋をするよりもその臭さを曝したほうが問題解決に繋がるように思える。

生存戦略

2011-12-13 14:57:44 | Weblog
 動物界は決して弱肉強食の原理だけで成り立っている訳ではない。様々な戦略がある。だから面白い。
 カゲロウの幼虫は棲み分けをする。川の中央部に棲む種もあれば川岸近くの流れの穏やかな場所を選ぶ種もいる。彼らは競争をしない、棲み分ける。
 体の大きなオスがメスを独占するゾウアザラシの社会では小さなオスは子孫を残せない筈だがそうではない。小さなオスはメスの振りをしてハレムの中に紛れ込んでチャッカリと繁殖する。
 擬態という戦略もある。毒針を持つ蜂は鳥に食べられにくいことから、蜂に似た形態の虫もいれば蜂に似た羽音を出す虫もいる。
 植物界に目を転じれば、奈良公園のイラクサは棘が多い。これは鹿に食べられないために独自の進化をしたからだ。野生植物の多くが毒を持つのは草食動物から身を守るためだ。
 生物界には様々な生存戦略がある。それぞれが適者生存の法則の元で生き残り策を模索している。様々な生存戦略があるということを我々は動植物から学ぶべきだろう。同じことを目標にすれば競争が生じるが異なったことを目指せば棲み分けができる。金儲けだけに価値を置けば勝ち組と負け組に分かれるが様々な価値を評価すればそれぞれが成功者になれる。

オオサンショウウオ

2011-12-09 15:16:49 | Weblog
 日本で中国産のオオサンショウウオが増えて日本固有種のオオサンショウウオが激減しているそうだ。日中のオオサンショウウオは近い種であり交雑が可能なために混血種が増えていると言う。
 日中のオオサンショウウオの形態はよく似ているが性格は随分違う。日本のオオサンショウウオはじっと待っていて目の前に来た魚を食べるが、中国のオオサンショウウオは積極的に動いて魚を狩る。何かにつけて積極的で繁殖活動も盛んだ。そのために中国系のオオサンショウウオが日本系を凌駕しつつある。
 日中のオオサンショウウオの違いは日中の国民性の違いを連想させる。日本人は温厚で宛がい扶持で満足するが、中国人は積極的で自己主張も強い。
 日本のような狭い島国に住んでいると競争が少ないので協調的になり、中国のような大陸では競争が激しいので能動的でなければ生き残れないからだろうか。
 日本では近年「草食系」と呼ばれる消極的な男が多いそうだ。弥生人が縄文人を圧倒したように近い将来、肉食系の中国人によって日本人は淘汰されるのだろうか。

沖縄蔑視

2011-12-09 15:01:56 | Weblog
 1995年に沖縄で起こった少女暴行事件を「詳細には知らない」閣僚がいて良いのだろうか。しかもそれが防衛大臣とは絶句せざるを得ない。
 この言葉は決して謙遜して言ったのではない。本当に知らないのだろう。記者会見では「ランコウ(乱交?)事件」と言ったそうだ。少しでも知っていればこんな言い間違いはしない。
 その後も凄い。沖縄の仲井真知事との会談では「今回のことで大きなお荷物をまた背負うことになった」と話したそうだ。なぜ「大きな課題」か「大きな責任」ではなく「大きなお荷物」なのだろうか。仲井真知事は呆れて僅か8分で会談を打ち切った。
 私は言葉の上げ足を取ることは好きではない。人間なのだから失言することもあろう。しかし一川大臣の沖縄蔑視は見事に首尾一貫している。失言ではなく本音だ。そうでなければ「お荷物」などという失礼な言葉が出る筈が無い。沖縄なんかどうでも良い、地元の石川県が大事だ、という考えが露骨に出ている。
 多分、地元の農民層には人気のある人なのだろう。しかし国会議員、しかも国務大臣だ。そんな立場の人が職務上最も重要な地域である沖縄を軽視することは許されない。既に問責決議が可決されたが、野田総理は小沢グループとのしがらみがあって解任できないだろうから、さっさと自ら辞表を提出することが国のため・民主党のためになる。このまま居座っては沖縄県民は益々民主党嫌いになってしまう。