俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

生活保護費

2012-07-20 12:25:14 | Weblog
 最低賃金が生活保護費を下回る逆転現象が11都道府県で起きているそうだ。これは厚生労働省の発表であり実際にはもっと多いだろう。それは、生活保護を受ければ医療費は無料になるし各種保険も免除されるからだ。これだけ厚遇されるなら働くのが馬鹿馬鹿しくなる。
 だから生活保護費を減額せよとか最低賃金を上げよとか言うことは軽率だ。特に最低賃金の上昇は必ずしも労働者のためにならないことを見逃してはならない。
 なぜ最低賃金の上昇が労働者のためにならないのか。人件費は単価×数なので単価が上がれば企業の側では数を減らすことを考える。数とは雇用者数×時間なので、雇用者数か雇用時間を減らすということになる。つまり失業者かワーキングプアを増やすことに繋がる。
 むしろ生活保護費の支給の仕組みを見直したい。仮に上限が15万円の場合、10万円稼げば支給額は5万円に減らされるそうだ。稼いでも稼いだ分だけ減額されるのでは勤労意欲は高まらない。これを、稼いだ額の1割を増額する仕組みに変えれば、10万円稼げば6万円が支給されて収入が1万円増える。これならば勤労を促す。
 現在の生活保護制度は病気や高齢などで働けない人を支援するために作られた制度であり、働かない人は想定されていない。働かない人を働かせるための仕組みを作ることが急務だ。

多数者

2012-07-20 12:06:54 | Weblog
 多数決は決して民主的な手法ではない。多数者が自分達の欲求をゴリ押しするための仕組みだ。
 日本の学校にムスリム(イスラム教徒)がいれば迫害され続ける。ムスリムは定刻に祈らねばならないが無視される。給食は拷問に等しい。食べられる物は殆んど無い。
 日本人女性がムスリムと結婚してイスラム圏に住んだら夫の浮気を認めねばならない。服装は制約されるし酒は飲めないし自動車の運転も禁じられるかも知れない。これらは多数者によるルールの押し付けだ。
 イスラム圏では異教徒とだけではなくシーア派やスンニ派などの宗派間での対立もある。キリスト教徒も新教と旧教の対立が多くの戦争を招いたし、現代でも新旧教の対立がアイルランド紛争の一因だ。
 多民族が居住する地域では宗教や慣習の違いが対立を生む。話し合って解決できるレベルではない。食肉を例にすれば、豚を食うな、牛を食うな、鯨を食うな、タコを食うな、犬を食うななどと他民族には理解できない勝手な主張が横行する。こんな基本的なことでさえ合意することは難しい。他にも無数の相容れないタブーがあり妥協は困難だ。こんな状況での多数決は対立を煽ることにしかならない。日本のように比較的同質な社会ではある程度有効な多数決だが、異文化が併存する場合は、合意することなど諦めて相互の違いを承認した民族ごとのコロニーを作るしか無い。「同じ人間なのだから話し合えば分かる」という能天気なことを言う人は文化の壁を理解していない。

既得権

2012-07-17 15:30:48 | Weblog
 市営プールの利用者は65歳以上の高齢者が多い。施設使用料が半額だし暇だからだ。しばしば老人サロンのようになり高齢者の忌憚の無い意見を耳にする。最近は橋下市長に対する批判が多い。全国に類の無い市営交通の高齢者無料パスを廃止しようとしているからだ。
 一旦獲得した権利は既得権となる。従ってたとえ特権と思えるようなものであろうともそれを侵害しようとする者は「悪」とされる。だから政治家は特権を保護しようとする。増してや多数者でありしかも投票率が高い高齢者の特権はアンタッチャブルとなる。こうしてバラ撒き政治が続く。
 市営交通の無料パスを特権と感じない老人の意識は恐ろしい。65歳以上だという理由だけでそんな特権を得ることを不当と思わないのだろうか。多分、古代ローマ人は、最初のうちは「パンとサーカス」のバラ撒き政治に感謝しただろう。しかしそれが既得権となると更に高額な物を要求するようになったのだろう。きりがない。生活保護費を受給すれば当初は感謝してもやがては既得権となり低賃金で働くことが馬鹿馬鹿しくなる。
 権利の要求はどこまででも肥大する。一旦得た特権は既得権となりそれ以上の特権を要求し始める。こんな既得権を見直さない限り財政を立て直すことなどできない。公務員の優遇も老人に対するバラ撒きも既得権であり、彼らが反対しようとも見直す必要がある。

在る物

2012-07-17 15:19:15 | Weblog
 かつて成田空港予定地では農民達による三里塚闘争があった。私は農民を支持するが成田空港利用を拒絶しようとは思わない。
 これまでに環境を破壊する多くの道路が作られた。私はそんな道路を作るべきではないと考えることが多いが、作られてしまったらその道路を利用したほうが便利だ。
 私は原発には反対だ。しかし既にある原発は安全性をランク付けして、上位に絞って有効に活用すべきだ。
 民主主義のルールは自由に発言できるということだ。決まるまではどんな発言をしても構わない。しかし決まったことに従うことがもう1つのルールだ。決まったことに逆らうのは民主主義ではない。増してや決まって更に実施されたことに対する実力行使はテロリズムにも等しい。
 決めるまでは大いに議論すべきだ。しかし決まった後でもそれまでの主張に拘泥することはルール違反だ。試合が済んだ時点でノーサイドとなるように、議論の決着の時点で結論が出たとすべきだろう。増してや既に作られた物を使わないことは資源や施設の無駄遣いとしか思えない。在る物は利用可能な限りは優先的に使うべきだろう。

食餌療法

2012-07-17 15:07:37 | Weblog
 なぜ食餌療法なのだろうか。普通に「食事」で良いと思うのだが敢えて「餌」の字を充てる所に医療関係者による悪意を感じる。栄養を考えることは「餌」に拘るようなものだと言いたいのだろうか。
 医食同源という言葉があるが正しいとは思えない。重要なのは食であり、医はそのサポート役だろう。植物とは違って光合成ができない動物は、食物を消化吸収することによってしか外部エネルギーを取り込むことができないのだから、最も大切なのは栄養学だ。ところが医師は栄養学の知識が乏しいので自己の無知を正当化するために栄養学を馬鹿にしようとする。その現れが「食餌療法」という言葉ではないだろうか。
 栄養学が万能だとは思わない。かつてビタミンの存在が知られていなかったように未知の栄養素は今でも沢山あると思う。特にキノコ類の栄養価は謎だらけだ。栄養学は発展途上の学問だ。それでも充分有効だ。現在の栄養学に基づく食生活の改善だけでも随分健康に貢献するだろう。薬という名の毒物や手術という名の傷害に基づく現代医療よりも遙かに優れている。

チームプレイ

2012-07-13 15:18:21 | Weblog
 オリンピックまであと2週間だ。有望な種目は柔道・レスリング・水泳・体操などだ。マスコミが期待する女子サッカーなでしこジャパンには過度な期待をしたくない。アメリカ代表が強過ぎるからだ。先日アメリカに完敗したからではない。チームの完成度が全然違う。なぜ完成度が違うのか。オリンピックに合わせて選手を寄せ集める日本と違ってアメリカ代表は長期間に亘ってチームとして活動しているからだ。昔の共産圏のステートアマのようなチーム作りが可能になったのは、皮肉なことに女子プロリーグが活動停止になったからだ。そのために米国サッカー協会が代表候補を雇用したので長期間のチーム活動が可能になった。
 サッカーは他の種目以上にチームプレイが重要だ。現在男子で最強のスペインに代表されるパス回しの巧拙がチーム力を決める大きな要因だ。個人の力量よりもチームとしての連携力のほうが大切だ。
 かつて中田英寿選手は傑出した能力を持っていた。しかし日本チームでの中田選手のベストパスは必ずミスパスになった。他の選手が劣っていたからだ。つまり中田選手が国際レベルでベストと考える位置には誰も走り込まないので、ベストではなく周囲のレベルに合わせた凡庸なパスを出さざるを得なかった。
 アメリカ代表が長期間チーム活動をしているメリットは大きい。お互いの力量も個性もよく分かっているからフォーメーションプレイも質の高いものになる。残念ながらアメリカが最強だ。

BMI(2)

2012-07-13 14:59:07 | Weblog
日本人は胴長・短足・頭でっかちだ。私の世代と比べれば若い世代は随分、格好良くなったが、それでも欧米の白人や黒人と比べれば見劣りする。背が低いことだけが原因ではない。例えばフィリピン人は日本人より背が低いが比較的足が長く頭が小さい。日本人がフィリピン人よりも背が高いのは頭と胴が長いからだ。
 頭は重い。脳はせいぜい1.5㎏程度だが頑丈な頭蓋骨によって守られている。
 胴は最も太い。足の太さが尻の太さを上回ることはあり得ないので、どんな大根足の人であろうとも胴は足よりも重い。
 こう考えると短足の日本人のBMI値は高くて当然ということになる。しかし実際には欧米人よりも低い。つまり日本人は痩せ過ぎているということだろう。
 BMIと同様に血圧・血糖値・コレステロールなども高さばかりが問題にされるが本当に危険なのは低過ぎることだ。これらの数値が標準よりも低い人は高い人よりも死亡率が高い。なぜ低い人が問題にされないのか不思議だ。もしかしたら薬の出番が無いからかも知れない。勿論、薬やサプリメントが無い訳ではない。しかし薬やサプリメントよりも食餌療法のほうが有効だ。医療ビジネスにとって儲けが少ないからという理由で低数値の人が問題にされていないのだとしたら医療の倫理が問われるべきだろう。
 食べる総量が足りなければ個々の栄養素も不足し勝ちだ。栄養素は足りないよりも余るぐらいのほうが良い。検査数値が高過ぎる人はともかく、普通の人はもっと栄養を摂ったほうが良かろう。

早期治療(2)

2012-07-13 14:45:47 | Weblog
 「効いたよね、早目のパブロン」とか「クシャミ3回、ルル3錠」といったテレビCMがある。これらは風邪の早期治療を訴えるCMだが誇大広告と思える。風邪かどうか分らない時に薬を飲んで風邪の症状が現れなかった場合、2つの可能性が考えられる。①風邪ではなかった②風邪を早期治療した。CMでは①の可能性を無視している。これではオカルトと同じだ。雨乞いをして雨が降ったら2つの可能性を考えるべきだろう。①自然現象として雨が降った②雨乞いが効いた。
 これを雨乞いが効いたと考える人は殆んどいないだろう。ところが風邪の場合は薬が効いたと考えるとは何とも不可解な話だ。
 私は風邪薬よりも雨乞いのほうが合理的だとさえ考える。雨乞いをするのは雨が降らずに困っている時だ。そんな時に「困った時の神頼み」をすることは容認できる。しかし風邪かどうか分らない時に薬を飲んで「効いたよね」と言うのは霊感商法にも等しい。
 私は風邪薬に治療効果は無いと思っているが、風邪の早期治療という根拠の無いオカルト的な物語まででっち上げて、毒物でもある風邪薬を売ろうとすることは犯罪的行為だ。

MR

2012-07-10 14:27:18 | Weblog
MRと言ってもKARAの歌のタイトルではないし、ミスタージャイアンツの長嶋茂雄氏のことでもない。医療の世界でのmedical representative(医薬品情報担当者)のことだ。昔はプロパーと呼ばれていた。プロパーとはproperを意味するのではなくpropagandaの略だ。いつから呼称が変わったのかは業界人ではない私は知らない。
 MRの女性は明確に2分類できる。薬学部出身の専門家と文科系出身の素人の美女だ。なぜ素人の美女がMRになるのか。病院の管理職の大半が中高年の男性だからだ。日本社会の管理・監督者の多くは男性で、地位が高くなるほど男性シェアが高くなる。元々男性従業員が多い医師では更に極端になる。そういう男性は美女に弱い。
 女性MRはセクハラを防止するために、2人以上で行動することが原則だ。しかし付き合いが長くなれば個人で訪問することもあるだろう。
 医師と薬品メーカーの結び付きが強過ぎるから医師は薬を使いたがる。形式上、医薬は分離されたことになってはいるが、今も腐れ縁は続いており過剰投与の一因となっている。

マニフェスト

2012-07-10 14:13:33 | Weblog
 民主党を離党した小沢一郎氏は、マニフェストを守ろうとしない民主党を非難して、正義はマニフェスト順守を主張する自分達にあると言う。一見、理に適った理屈のようにも思える。しかし民主党はマニフェストを守らないのではなく守れないのだ。守れないマニフェストが存在するなら作った側にこそ責任がある。では誰が作ったのか、小沢氏その人に他ならない。無駄を削って16.8兆円浮かせるという荒唐無稽なマニフェストで、政権交代を果たした与党の幹事長として絶大な権力を握りながら何1つ実現できなかったのは誰だろうか。「増税の前にやるべきことがある」という主張も論理的には正しい。しかし小沢氏にはこの主張をする資格は無い。。やるべきことをやらなかったしやろうともしなかった張本人だからだ。マニフェストを空手形にした戦犯は小沢氏だ。
 反消費増税と脱原発をスローガンにして新党を立ち上げたが、またしても守れない&守るつもりも無いスローガンだろう。もうこんな茶番劇は沢山だ。幾ら政治音痴の日本人でもそう何度も騙され続けないだろう。もし2009年の民主党のマニフェストを守ることが正義であると本気で考えるのなら、反消費増税と脱原発ではなく2009年の民主党のマニフェストをそのままスローガンにすべきだろう。