俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

不治の病

2012-07-10 13:54:33 | Weblog
 医療は「不治の病」の存在を認めようとしない。それは医療の敗北を意味するからだ。たとえ現時点では治療不可能であろうとも新しい薬や手術を開発して必ず克服できると考える。理想を持つことは医学会の勝手だが現実を直視する必要がある。
 「早期発見・早期治療で癌を治療できる」と言うが嘘だろう。治療されたとされる癌は癌ではなく良性腫瘍だったからに過ぎない。検査では明らかに悪性の腫瘍や良性の腫瘍よりもどちらか分らない腫瘍が見つかることが多い。このグレーゾーンの腫瘍が治療の対象となる。ところが治療できたものは実は良性だった腫瘍だけで、悪性だった腫瘍は既に転移していて手が付けられない。医師は「発見が遅かった」と言い訳をするが、癌の転移は医学会の常識よりもかなり早いようで、もしかしたら転移ではなくほぼ同時に発生しているのではないかとさえ思える。
 整理しよう。もし癌なら発見された時点で既に転移しているから治療は不可能だ。もし良性腫瘍なら癌にならないから治療する必要は無い。放っておくことがベストだ。結局のところ、癌なら治らず、癌でないなら放っておいても治るということなので癌検診は無意味ということになる。
 痛みや苦しみを伴う癌が発症した場合、どうするべきだろうか。放射線照射による対症療法が一番マシだろう。但しこの療法に延命効果は無い。苦しみを緩和するだけだ。6月29日付けの「医学の限界」で書いたように、現在の医療レベルでの治療は悪化を招くだけなので、免疫力を高めることと発癌性物質を遠ざけることで少しでも延命できることに期待するしか無かろう。

悪い癖

2012-07-06 15:17:28 | Weblog
 平泳ぎの選手を紹介する番組を見た。彼女が早く泳げる秘訣は蹴り戻しがコンパクトなことだと解説していた。体の真後ろで小さく蹴り戻すから余計な抵抗が生じずスピードが落ちないとのことだった。
 私の泳法の欠点に気付いた。ガニ股で泳いでいることだ。ガニ股だから足が体の横にはみ出して抵抗を大きくしている。早速、足を広げない泳法に挑戦してみた。従来と同じピッチで泳いでも25mで5秒ほど早くなったので驚いた。この泳法をマスターしようと思った。ところが1週間もすると問題が生じた。膝の関節が痛み始めた。これまでと違った蹴り方なので、筋肉と関節に慣れない動きを強いるからだ。歩く時にも痛みを感じるようになったので新フォームは諦めて元のフォームに戻した。
 負け惜しみと思われるかも知れないが、最も早く泳げるフォームは必ずしも合理的なフォームではない。野球の投手は球威を増すためにかなり無理なフォームで投げてそれが原因となって肘や肩を痛める。むしろキャッチボールの投法のほうが無理の無い合理的なフォームだろう。ガニ股で泳げば無理が生じないのでそのフォームで何十年も泳ぎ続けていた。それを今更変更しようとすれば痛みが出ても当然だ。悪い癖を改めるなら20代の頃にやっておくべきだった。
 思考において悪い癖を改めても脳は痛まない。筋肉や関節とは違って脳は柔軟だ。水泳では悪い癖を改め損なったが思考においては積極的に悪い癖を見つけて改善し続けたい。

検査数値

2012-07-06 15:06:33 | Weblog
 高血圧の人に降圧剤を処方することに意味があるのだろうか。
 逆の「低血圧症」の場合は明らかだ。薬で血圧を上げても症状は全く改善されない。この病気の原因は自律神経の乱れであり、低血圧はその結果に過ぎない。原因に対処せずに結果だけを操作しても無意味だ。それはカンニングをして100点を取っても学力が向上しないのと同じことだ。結果ではなく原因に対処せねばならない。
 そう考えれば降圧剤の効果は疑わしい。何らかの原因があって血圧が上がっているのなら、その結果に過ぎない高血圧に対処することは無意味だ。それどころか血圧低下という異常反応を起こさせる毒物を長期的に服用することは自傷行為とさえ思える。
 生活習慣を改善することによって血圧が正常値になったなら治癒と言えよう。これは原因に対処したから結果も改善されたということだ。薬で検査数値だけを捻じ曲げるのとは全然違う。
 血糖値やコレステロール値などについても同じような愚かなことを治療と称してやっているのではないだろうか。

患者作り

2012-07-06 14:48:00 | Weblog
 日本の医療は患者作りに励んでいる。これは実際に病人にするという意味ではなく、病人でない人まで患者扱いをするという意味だ。血圧、血糖値、コレステロールなどの基準値をほんの少し下げるだけで大量の病人予備群がでっち上げられて病院は大繁盛して医療費は無駄遣いされる。メタボ検診で男性の腹囲を女性以下の85㎝に設定したのは改善されにくい男性患者を増やしたいという意図の現れだろう。
 鬱病患者が増えたのも同じ事情だ。仕事に不満を持つ人を鬱病と診断すれば患者には休む権利が、医師には新規顧客が生まれる。患者と医師は利害が一致するウィン・ウィンの関係だ。
 収入は単価×数だ。医療の単価は決められているから数さえ増やせば収入は増える。本当は病気でない人を患者にすれば市場が拡大する。市場が拡大すればマスコミが話題にする。10人しかいない奇病は話題になりにくいが鬱病患者なら百万人以上いる。誰でも鬱病に罹ると煽れば、自分も鬱病ではないかと心配して心療内科を訪れる人が増える。こういう病気でない患者ほど有難い客は無い。元々病気ではないのだから悪化する心配は無い。それでも「薬をやめたら死ぬ」と脅しておけば延々と金を払い続ける。
 商売では顧客作りが重要だ。小売店は営業時間を延長したりポイントカードを導入したりして顧客作りに励んでいる。しかし最も顧客作りに成功したビジネスは医療だろう。病人ではない患者が激増して医療の市場は拡大し続けている。

健康

2012-07-03 15:43:20 | Weblog
 健康については誰が詳しいだろうか。多くの人は医師と考えるだろうが、医師は病気のプロであって健康のプロではない。医師を健康のプロと思うのは警察や検察を倫理のプロと思うようなものだ。異常に対するプロと正常に対するプロは全く別だ。
 「医者の不養生」と言われるように医師は決して健康・長寿ではない。むしろ短命だ。日野原重明氏のような100歳の現役医師がマスコミでしばしば取り上げられるのは長寿の医師が珍しいからだ。言わば「人が犬を咬んだ事件」のようなもので珍しいからマスコミが報道する。
 医師が短命になる原因は幾つも挙げられる。毎日、病原体に晒されることや、小児科・産婦人科に代表される深夜・長時間勤務、あるいは日常的に患者の死に立ち会うことのストレスなどだ。
 そんな事情はあるものの実際に医師は健康には疎い。致命的弱点と思えるのは栄養学の知識の欠如だ。医師が持っているのは欠乏症の知識だけだ。食餌療法は健康保険の対象外だから、対象になるサプリメントばかりを推奨して食餌療法には無関心だ。患者に勧めているうちに自分も信じてしまってサプリメント漬けになる。 
 患者を治す医師とは違った視点から健康を指導する健康指導医が必要なのではないだろうか。

外来種

2012-07-03 15:27:29 | Weblog
 外来種が日本の固有種を滅ぼすとして駆除されている。典型例は琵琶湖の魚と和歌山の猿だ。
 琵琶湖ではブラックバスやブルーギルなどの外来魚が駆除されている。ブラックバスは海水魚のスズキが進化した魚であり美味しいらしい。これを食資源として捕えず生態系を破壊する厄介者扱いするのはなぜだろうか。
 和歌山の猿はもっと悲惨だ。動物園から逃げ出した台湾猿と日本猿との混血種が駆除されている。外見では区別できないのでDNA検査までやって台湾猿の遺伝子を駆逐しようとしている。
 こんなヒステリックな外来種駆除はナチスの純血主義のようなものだ。生態系に組み入れられたならそのまま受け入れれば良い。例えばアメリカザリガニを駆除する必要があるだろうか。これは明治に輸入されて野生化した外来動物だ。ニジマスもカワマスも外来種だ。米も縄文時代に伝わった外来植物だし、イチゴもリンゴも明治時代から輸入栽培されている。外来種は固有種を滅ぼすとは限らず逆に生物多様性を高めているとさえ思える。
 東京人は元来田舎者の集まりでありながら妙に余所者を差別したがり、埼玉県出身者を「ダサイタマ人」と呼んだりする。大阪人は差別意識が少ない。だから朝鮮人や沖縄人などが最も多く集まる。外来種の駆除は東京人の差別思想の現れではないだろうか。

医療費の無駄遣い

2012-07-03 15:09:50 | Weblog
 医療費が膨らんで国の財政を圧迫している。これは途轍もない構造的な無駄が原因ではないだろうか。
 慢性病患者への薬は大半が無駄で有害だ。治療効果が無く検査数値を下げるだけの薬は不快な症状を緩和することも無いから対症療法よりも悪い。この薬の副作用によって病気になれば更に副作用の強い薬を使ってもっと酷い状態になる。毒を以て毒を制するのではなく毒漬けにすることが「治療」とされている。
 延命効果を証明できない癌治療も大問題だ。放っておけば5年生きられる人を手術して即死させたり、良性腫瘍に放射線を当てて癌にしてしまったり、抗癌剤の副作用が癌以上に患者を苦しめるなど笑えない失敗が多発している。こんな殺人紛いの行為が癌治療の実態だ。
 昔から鬱病はサボリ病ではないかとの疑いが絶えないが、新型鬱病ではその傾向が著しい。「人事異動が原因で鬱病になった」という類いの他責型の診断書を求める人が多いそうだ。こんな人にも抗鬱薬のSSRIが処方されて医療費として国民の負担になっている。落ち込んでいる人に酒を飲ませるような行為が医療と言えるのだろうか。
 医療費が無料になる生活保護費受給者による薬集めも酷い話が。もし全部飲んだら死んでしまいそうな大量の薬を、病院を梯子して集めるのは横流しが目的としか思えない。