俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

生活保護の条件

2012-08-21 14:07:02 | Weblog
 ホームレスは明らかに極貧生活者だ。それにも拘わらず生活保護を受けられないのは彼らが条件を充たしていないからだ。
 ①住民票・・・生活保護を受けるためには自治体の福祉事務所へ申請せねばならない。ところが住民登録がされていなければ受け付けられない。生活保護費は各自治体が1/4を負担せねばならないので財政難の自治体は居住者と認められない人を門前払いにする。
 ②借金・・・ローンを含めて借金がある人は生活保護を受けられない。それは生活保護費が借金返済に充てられるからだ。受給資格を得るためには自己破産をして借金を0にするしかない。
 要するにどん底まで落ちたら受給できないという変なシステムだ。借金を重ね、家賃も払えずに追い出されたら受給資格を失う。従って無理をせずに、住居があり借金が無いうちに申請せねばならない。このことを知らずに無理と我慢を重ねた人は受給資格を失う。

デモ

2012-08-21 13:52:57 | Weblog
 共産党独裁体制の中国では反政府デモは認められていない。唯一愛国デモだけが許される。愛国デモの代表例は反日デモだ。尖閣諸島の領有を主張するデモが頻発している。しかし画像をよく見るとしばしば場違いのプラカードや幕が見当たる。政府批判と思える主張がドサクサに紛れて現れる。あるいは「釣魚台(尖閣諸島)奪還」とか「宣戦」とかいった主張も見受けられる。
 中国政府としても過度な愛国的主張は迷惑だ。釣魚台が中国領であることは中国政府の公式見解だが宣戦布告などできない。普段抑圧されているだけにデモはしばしば内政批判へと向かう。
 この秋に国家主席が胡錦濤氏から習近平氏にバトンタッチされる。権力基盤が脆弱で内部紛争が起こりそうな時にややこしい問題を起こしたくないというのが中国側の本音だろう。
 そういう時だからこそ日本は意図的にややこしくするべきだろう。前例踏襲ではなく今できるベストの選択をすべきだ。日本の政治家は国内政治の駆け引きには長けているが国際政治対応は本当に下手だ。

美を競うスポーツ(4)

2012-08-17 15:14:12 | Weblog
 「私のお尻がもうちょっと上にあったらメダルが取れていたかも知れない」
 昭和39年(1964年)の東京オリンピックで女子体操個人総合で6位に入賞した池田敬子選手の試合後のインタビューでの発言だ。何せ48年も前の子供の頃の記憶だから正確ではないかも知れない。また当時私は単純に「お尻が垂れている」と解釈したが真意は「足が長かったら」と言いたかったのかも知れない。
 金・銀は無理だっただろう。1位のチェコのチャスラフスカ選手と2位のソ連(現ロシア)のラチニナ選手の力量は頭抜けていた。3位以下は僅差だったように思うから容姿で負けていなければ銅メダルなら取れていたかも知れない。
 当時の日本人は現代人よりも胴長・短足だった。正座によって足の発育が妨げられ栄養も不充分だったからだ。
 しかし足の長さは普遍的な美だろうか。それは西洋人が優れていて東洋人は劣っているという偏見から生まれた美醜観ではないだろうか。曖昧な記憶だが、源氏物語には非常に胴の長い美女が描かれていた。谷崎潤一郎の小説ではロダンに胴長の美を賛美させていた。胴長・短足を「醜」と決め付けることには賛同しかねる。

仮病

2012-08-17 15:04:15 | Weblog
 しばらく前までは新型鬱病も発達障害もアスペルガー症候群も存在しなかった。これらは最近「発見」された精神病だ。精神病理学がグシャグシャの状態なので仮病が非常に容易になった。精神病は内臓の病気とは違って検査数値ではなく自己申告に基づいて診断される。例えば「頭が痛い」と言えば頭痛症候群と診断される。心臓病なら心電図で異常を確認できるが、脳波計を使っても殆んどの精神病は検証できない。
 仮病が最も使い易いのは鬱病と睡眠障害だろう。「気力が出ない」とか「眠れない」といった自己申告は、入院でもさせない限り検証不可能なので申告どおりの病気と診断される。
 生活保護を不正に受給するためにこれらの仮病は有効だ。働かないのではなく精神病のために働けないという口実があれば健康な人でも受給できる。上手く行けば障害年金の受給者になり生涯労働から解放される。働きたくない人にとっては天国のような甘い社会だ。

老人優遇策

2012-08-17 14:53:47 | Weblog
 消費増税は国民が平等に負担すると政府は言うがこれは嘘だ。年金生活者の負担は小さい。
 年金は物価スライド制になっている。だから物価が上昇すれば年金は増額される。消費増税をすれば税込物価が上がる。すると翌年には年金が増額される。年金生活者は1年だけ我慢すればその翌年には年金の増額によって実質的に元の状態に戻る。従って増税分を負担するのは現役世代だけということになる。それだけではない。年金が増えた分まで負担させられる。年金が増加すれば当然、社会保障費も増える。社会保障費を賄うためといういつもの理屈で、所得税などを増税し各種控除を減額し、更に保険料を値上げするだろう。
 消費増税は年金生活者を保護し現役世代だけに負担を強いる酷い仕組みだ。国民を欺いてでも老人を守ろうとするのは、多数者であり暇なので投票率も高い老人の票を政治家が狙っているからだろう。

美を競うスポーツ(3)

2012-08-14 16:55:43 | Weblog
 約20年振りに新体操を見て驚いた。美女揃いだからだ。美人コンテストかファッションショーかと思うほど美人ばかりだった。なぜこんなに美人ばかりのスポーツ競技があり得るのか。もし運動能力の優劣で選ばれるならこんなことにはならない。多少不細工な選手も紛れ込むだろう。体操やフィギュアスケートやシンクロナイズドスウィミングでは必ずしも美人とは言えない一流選手もいる。
 多分、アイドル歌手や女優や女子アナのように、先ず容姿で選別されているのだろう。容姿端麗でなければ一流選手になれないという前提で、容姿で選ばれた人だけに英才教育が施されているのだろう。
 しかしこれはスポーツとしては歪んだ姿だ。美を競うスポーツは演技の美を競うべきだ。容姿の美は加点要素とはなり得ても優先条件とは思えない。これではスポーツではない、ショーだ。

フードスタンプ

2012-08-14 16:42:25 | Weblog
 日本の生活保護制度は極端過ぎる。受給者は年金以上の金銭を受け取り各種保険金は免除され医療費までタダになる。こんな夢のような生活を提供するのだから受給希望者が殺到して、福祉事務所の仕事が「どれだけ受給者を減らすか」ということになってしまっている。そのために生活保護を受けられなかった人が餓死するような事態まで招いている。
 医療費がタダになることの弊害は大きい。実は生活保護費の50%以上が医療費だ。確かに病気のせいで働けずに生活保護を受けている人もいるが、それにしても異常な数値だ。無駄な医療や薬の横流しが横行しているとしか思えない。
 6月22日付けの「食品券」で生活保護費の一部を食品券にすべきだと書いたが、アメリカにフードスタンプという制度があることを最近知った。月に100ドルほどの食品クーポンが支給される制度で、この制度の恩恵を受けている人は何と毎月4000万人もいるそうだ。国民の1割以上が福祉の受益者だ。
 極貧と貧乏の間には様々なレベルがある。日本では極貧だけを支援する。少数者を極端に厚遇するよりは多くの貧しい人を救うべきだろう。広く深くが不可能な福祉制度なのだから、狭く深くではなく広く浅く支援すべきだろう。

神頼み

2012-08-14 16:28:54 | Weblog
 合格の可能性が30%しか無い難関を突破した人の90%が神頼みをしていたとしたら神頼みが有効だったと考える人が少なくなかろう。確かに結果を見れば神頼みをした人は神頼みをしなかった人の9倍も合格している。しかしこれは統計のマジックだ。
 注目すべきなのは神頼みした人の割合だ。可能性30%なら多くの人が縁起担ぎなどを含めて困った時の神頼みをするだろう。仮に90%の人が何らかの神頼みをしたとする。神頼みには実効性が無いから30%の人が合格し、70%の人が不合格になる。一方、神頼みをしなかった人も同様に30%が合格する。その結果として合格者は神頼みをした人が27%(90%×30%)、神頼みをしなかった人は3%(10%×30%)となる。結局、神頼みした人が90%いたということがそのまま結果に反映されるだけだ。
 これと同じ馬鹿げた話が世に蔓延している。インチキ医療は勿論のこと、厚生労働省認可の医療も確率的には、あるいはエビデンス(証拠)に基づいて検証すれば無意味なものや有害なものが少なくない。風邪や癌や生活習慣病などに対する医療はほぼ確実に間違っている。

非常時

2012-08-10 15:32:17 | Weblog
 マスコミでは報道されなかった話だが、東日本大震災の時にこんなことがあったそうだ。津波から避難しようとした人々がビルに集まった。ビルの上層階へ逃れようとするのだが老人の多くは動きが鈍く体力も乏しい。階段の途中や踊り場に座り込む人が続出した。その老人達を突き飛ばし蹴散らして駆け上がった若者がいたそうだ。
 多くの人はこの若者を非難するだろうが、私は非難できない。非常時にこの若者と同じような行動をしないとは到底断言できないからだ。一刻を争う事態なのだから誰でも無駄なことに時間や労力を割きたくない。突き飛ばしたりせずに通れるなら当然そうするだろう。隙間を通れないからぶつかりながら駆け上がらざるを得なかったのだと思う。
 ガードレールのある歩道を3人並んで歩いていたら追い越すことは困難だ。急いでいる人にとっては迷惑だが彼らは平気だ。誰であろうと周囲に対する配慮があって然るべきだ。非常時に途中で休憩することは本人の勝手だが、後から来る人が通れる隙間を空けるぐらいの心配りは必要だ。

3R

2012-08-10 15:18:09 | Weblog
 日本人は廃棄物対策としてすぐにリサイクル(recycle)を考えるがこれは根本的に間違っている。リサイクルは第3の対策でしかない。まず取り組むべきことはリデュース(reduce)で次がリユース(reuse)、どちらもできない時に初めてリサイクルが浮上する。最初から第3の対策を目標にしていれば廃棄物処理問題は歪められてしまう。
 一番大切なのはリデュース、つまりゴミを作らないことだ。例えばカップ麺は商品容積とほぼ同体積のゴミになる。こんな商品を作るべきではないし買うべきでもない。ところが日本ではカップ麺の市場は今でも拡大している。如何に日本人が環境意識を欠いているかを象徴する事実だ。
 リユースは再利用だ。レジ袋はゴミ袋として再利用すれば良い。新しい袋にゴミを詰めることは資源の浪費だ。
 リデュースとリユースは「勿体ない」の精神にも通じる正しい環境対策だ。それに対してリサイクルは実は環境破壊に繋がることが少なくない。リサイクルのための回収作業や再生処理は環境に大きな負荷を与える。リサイクルが有効なのはアルミ缶ぐらいであり、大半の廃棄物は燃やして熱エネルギーとして利用することがベストだろう。