2023年7月3日(月)
奴隷制「人道への罪」
オランダ国王が謝罪
「歴史的」市民が歓迎
【アムステルダム=桑野白馬】オランダのウィレムアレクサンダー国王は1日、同国が19世紀半ばまで関わった奴隷制や奴隷貿易について「人道に対する犯罪だった」と認め、謝罪しました。奴隷制廃止から150年を記念しアムステルダムで開かれた式典で表明しました。
オランダ王室が過去の奴隷制への関与を認め公式に謝罪するのは初めて。同国王は、オランダに対し「過去の不正義」に向き合うよう求めてきた植民地や奴隷にルーツを持つ市民らを前に、演説しました。式典の参加者から「歴史的」「先祖の代から100年以上この日を待っていた」と、歓迎する声が上がりました。
国王は、約250年にわたる奴隷貿易で「人間が商品と見なされた」と指摘。アフリカから南米スリナムやカリブ海地域に60万人以上が運ばれた歴史に言及し、鎖につながれ際限なく働かされたり罪がないのに殺されたりしたと、振り返りました。
奴隷制の下で抑圧と搾取が行われたことを念頭に「その影響は現代社会における人種差別の中に感じられる」と言明。「(当時の歴代国王が)人道犯罪に直面しながら何ら行動しなかったことを許してほしい」と訴えました。
王室は昨年1月、「植民地からの貢ぎ物」と題する絵が描かれた王室保有の「黄金の馬車」を公式行事で使用しないと決定。昨年末には植民地時代に王室が担った役割を検証するとして、歴史研究者らによる独立調査委員会に調査を委託しました。
西欧の植民地だった諸国や市民が草の根の運動を広げ、声を上げ続けてきたことで、重要な前進が生まれています。
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