バタバタやることがあって、なかなかブログを書けなかった。ようやく再開。
前日は早く寝たから体力が回復。テントを素早く撤収して、八百平を6時半に出発する。
和名倉山の秩父側の登山道は遭難者がおおいことで有名である。まぁ、こうしてブログを書いているわけだから、私は遭難はしていないのだが、何箇所か危ないところもあった。正直言って、秩父側の和名倉山はあまりいい山だとは思わない。もし登りたいなら、将監峠の方から登るべきで、秩父側からは止めたほうがいいと思う。
とは行っても、登りたい人もいるだろうから、これから登る予定の人のために、詳しく書こうと思う。
八百平から和名倉山山頂までは、それほど遠くない。
私は、山頂に行くことを目的として登山しているわけではないので、和名倉山山頂に行かなかった。行って帰って、30分くらいということである。
「遭難したら尾根に上がれ」と書いてある。当然といえば当然である。山頂は基本的に一つで、登っていけばいずれ山頂にたどり着く。しかし、下りはいろんなパターンがあり、自分の位置がわからなくなったり、危険なところ出てしまうこともあるからである。特に沢の付近は急な崖があって、落ちたら一巻の終わりである。
遭難にはいろいろな原因があると思うが、大きな原因の一つに体力不足があると思う。疲れきってしまうと判断力を失うからである。そして、一番の問題は、疲れているときに尾根にあがるのが嫌だという精神状態にある。疲れているからどうしても楽な下りを選んでしまう。でも、心を鬼にして、登っていかなくてはならない。
私も、何回か道に迷ったことがある。迷うときは不思議と下りであるが、頑張って登り返した。もしヘトヘトなっていたらどうなっていたか分からない。道を間違えること自体は、実はよくあることだ。問題は登り返せるだけの体力と精神力があるかどうかだ。引き返したことで2時間ロスしたこともある。しかし、なんとか遭難は免れた。やはり、「遭難したら尾根に上がれ」という言葉はその通りだと思う。まぁ、私流に言えば、「迷ったら前の場所に戻れ」だろうか。
よく似た葉だが、左がシラビソ、右がコメツガ。
奥秩父には、このシラビソとコメツガの樹が多い。奥秩父は森林限界の一歩手前くらいの標高で、冬は深い雪に包まれる。そのような環境の中ではシラビソやコメツガなどの寒さに強い常緑針葉樹が生育する。常緑針葉樹は体内の成分を調整することで、幹内が凍らないようにできるからだ。
もう一つの特徴は、標高が高いゆえに山野草が少ないことである。そうすると、山野草の代わりに樹の付近に見事な苔が生える。だから、奥秩父には苔のはえた鬱蒼とした林がある。それが好きか嫌いかは好みの別れるところであるが、晴れていると幻想的で綺麗、、曇っていると怪しく気持ちがわるい感じになる。こっちの主観的な気分が強く影響する。
迷うという観点からは、ところどころ踏み跡がわかりにくい感じではあるが、赤いテープが張られているので、大丈夫である。
尾根沿いに入るところで、この標識というか張り紙というか、がある。ここから、悪評高いスズダケのヤブがある。
ちょっとこの笹ヤブがどんな感じだろうかビビっていたが、きれいに刈られていて、まぁまぁ歩きやすかった。もし、これが刈られていなかったら、ひどい事になっていただろうと思う。
このように、赤いテープが丁寧に貼られている。だから、迷う可能性は少ない。誰か分からないが、「ありがとう」といって通りすぎる。
笹ヤブもそうだが、そこを通り過ぎると足元の悪い急な下り坂が続く。
多分、この辺が一番遭難しやすいんではないかと思う。というのも、右側に和名倉沢があってそっちの方に降りていきそうになるからである。
沢の方から水の音が聞こえる。地図で沢を確認してから、そっちの方に降りると迷うぞと自分に言い聞かせる。
沢の方に向かって踏み跡がたくさんある。多分、沢登りや沢下りをする人たちの踏跡だろうと思う。気が緩んでくると知らず知らずに、沢に降りてしまうのもよくわかる。
気をつけてください。
秩父側の方はオススメしないと言ったのは、このゴミに幻滅するからである。とにかく酷い。というか気持ちが悪い。
小屋跡。9時半。このガラクタ何とかならないのだろうか。
もし、この和名倉山を秩父方面から登るとしたら、秩父鉄道で終点の三峰口駅まで来て、そこから西武観光バスで秩父湖まで来ることになる。今の状態だと、わざわざ高い交通費を払って来るまでの価値はない。汚すぎるからだ。
私が、秩父鉄道や西武観光バスの経営者なら、まずこのゴミを何とか処理して、和名倉山の登山道をきれいにして登山客を増やすように努力するだろう。確かに、この和名倉山は日帰りにしてはきつすぎる。だから、途中、避難小屋があったほうがいいと思う。この小屋跡の付近には水場があって、この辺に避難小屋があれば最高である。ただ、このゴミをきちんと処理しなければならない。
このように、本来、道は広くて歩きやすいはずである。ただ、せっかくのきれいで歩きやすい道が、倒木やヤブでひどい事になっている。誰かがきれいに整理しないといけないだろう。
登尾沢の頭(1369m)。ここから、三峰神社らしきものが見える。けっこう標高が高いところに建物がある。
杉、ひのきの植林地帯。急坂で、もしここを登ってきていたらかなりバテる。そのバテた体で、今来た道のりを登っていくのだから、相当の体力がなくては疲れきってしまうと思われる。私でも、日帰りで帰ってくる自信がない。相当きつい。だから、秩父側の遭難が多いのは、道が悪いだけではなく、きつい登りも原因だと思う。とにかく疲れきってしまうのだ。体力がない人にはこの山はオススメしない。
秩父湖の吊り橋。12時20分。もうすぐこの登山も終わる。すこし寂しい。
秩父湖をすぎて、すこし登ったところに埼玉大学秩父山寮があった。その辺に水場もあったから、裸になって体を拭いたり、頭を洗ったり、ひげを剃ったりした。公共交通機関を使うので、多少、きれいにして置かなければならない。
歩きすぎて脂肪が落ちた。ちょっとすっきりしたと思う。写真をとって確認してみるがよく分からない。脱がないと分からないね。
二瀬ダム。間近でダムを初めて見た。ここが始まりとなって、うちの近くの荒川につながっていると思うと、なんだか感激する。
そうやって写真を撮っていると、バスが来た。猛ダッシュでバスに乗り込む。バス停やその付近の写真を撮っている時間はなかった。残念。
バスの中は、高校生らしき登山者がいっぱいの乗っていた。当然、座る場所なし。その一人にどこに行ってきたのと聞いてみる。
「白泰山です」と答える。
「高校生?」と私
「はい」と彼。
でっかいザックを持っている。彼の体格にしては大きすぎるような気がするが、若いから大丈夫なのだろう。
三峰口駅から秩父駅まで行く。秩父駅から特急で池袋まで行く。特急は新幹線みたいな豪華な車両だった。特急券600円くらい払ったのだから当然か。
新宿とは違い、池袋には私みたいなザックを担いで泥だらけになった野生的な人間はあまりいないので、ジロジロと見られる。そんなことは気にせず重いザックを担いでヒョイヒョイと人をぬって軽快にステップを踏む。山に長くいると野生動物のようになる。その感覚が好きだ。
一応、和名倉山の登山ブログはここで終わり。
今週の連休には大菩薩嶺を中心とした縦走をしようと思っている。なんか山中心の生活になってしまってきているような気が。だけど、楽しい。