トライアングルの部屋

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時々おでかけの記録も
仙台在住で大の阪神ファン

カモナマイハウス 重松清

2023-12-31 15:16:37 | 本 2023年
第一章 マダム・みちるのお茶会
水原孝夫 不動産会社勤務
空き家の管理を担当

孝夫の家族

妻 美沙 

孝夫の一人息子 ケンゾー
元戦隊ヒーロー
今はバイトしながらの売れない俳優
その練習中に足を骨折してしまい
自宅で療養中

美沙が両親の介護を終えた後
介護ロスに陥る

それを助けたのが
マダム・みちるのお茶会

ペットロス やりがいロス
秀樹ロス(西城秀樹)
など、いろいろなロスの人が集まる

廃屋と空き家の違い
廃屋も空き家もだれも住む人がいないのは
同じだけど
朽ち果てていくだけの廃屋とは違い
空き家はまた生活が始まるかもしれない
それを支えるのが孝夫たちの仕事

第二章 お父さん、家で泣いたことありますか?

ある空き家の話

家を建てたがために
父親として夫としての権威を示すため
妻と娘を一種のモラハラする
そして離婚

娘の結婚式にも出席させてもらえない

今は誰も住まない家で過去を思い出し
反省する夫

お父さんって横から口出ししたつもりでも
ついつい上からになっちゃうから気をつけないと

あーこれ自分も気をつけないと

熟年離婚
長年の恨みが積み重なったあげくの離婚ではなく
過去ではなく未来に目をやって
そこになにも見えないからこそ

子どもが巣立ち
夫婦二人になって
どんな話をして
どんなことで笑ったり泣いたりするかが
浮かんでこない

第三章
空き家には悪だくみがよく似合う


もがりの家
漢字で描くと殯
昔は棺に納めたご遺体が腐敗して
白骨化するまでが「もがり」
今は火葬場の順番が来るまでの期間
それを空き家ですごしてもらう

それがなんと美沙の実家

毀誉褒貶(きよほうへん)
ほめたりけなしたりすること


この話いつ書かれたんだろう
阪神ファンにとっては
面白い会話があった

「ちょっとアレだよなあ」
「はいほんとアレです」
「そう、アレなんだ」

「アレ」というぼかした言い方が
不思議とすんなり馴染む
あえて深追いせずに、
このあたりにしておいてやるか
という感じが悪くない

重松さんどこのファンか調べたら
カープファンだった
岡山出身

第四章 追っかけセブン、登場

この章は、気になるフレーズが多く出てくる

追っかけセブンとは
息子ケンゾーのファンの70代の女性たち三人組のこと

この三人組の合言葉
古希のキは希望のキ
喜寿のキは喜びのキ
七十代の七は人生のラッキーセブン


ロスの心をうめる
ココロの穴を埋めようと思ったら
なんでもいいから「推し」をつくること
これが一番手っ取り早くて、確実

わかるわかる 推しは大事

熟年夫婦はハイタッチ
接触一秒、愛情一生
肘肩伸ばせば、寿命も延びる!


手つなぎはグー
タッチはパー
パーはグーより強い
相方いなくなったら
一人でタッチ、すなわち合掌
仏壇の前で拝んであげなさい


著者の重松さんが考えたんだろうか
すごく深いと思う

奇貨(きか)
利用すれば思わぬ利益を得られそうな事柄・機会。
ケンゾーの骨折を奇貨とするってことだな


嫌なヤツがいる
それって大チャンス
嫌なヤツのせいでココロに穴が空く
それが埋まったときの気持ち良さ
サウナで言うなら「整う}ってこと
前に進めなくても
穴を埋めるのが、還暦過ぎたら大事


第五章 もがりの家

美沙の実家
相続したのは兄
その家をもがりの家にする

その業者の石神井から説明を受ける美沙と孝夫

今までに空き家を別の用途に使っている参考例を
見せてもらっていると

なんとそのなかに美沙が毎週通っている
マダムみちるのお茶会で使われている洋館があった
みちるの家と思っていたのにレンタルだったのだ
ショックを受ける美沙

第六章 マダムの正体

美沙は息子のケンゾーとみちるのお茶会の家を
調べに行く

そこから出てきたみちるを追いかけるケンゾー

なんとみちるはかつての魚屋さん
両親、夫を亡くし
子どもは巣立って一人暮らし

今は洋館の掃除やら庭の手入れなどを手伝い
週一回レンタルしてお茶会をしていた

お姫様になりたかったという
昔からの夢をかなえるため

バレたのでお茶会はやめるという

都会に暮らす人たちが
ふるさとに遺した空き家をなかなか処分できない
買い手がつかないという理由だけではなく
空き家(実家)があることで
ふるさととのつながりを
支えてくれているのかも

お茶会での執事役は
執事カフェで働いている人だった

執事カフェで検索したら
本当にあった

執事喫茶として
執事の格好をしたスタッフが接客をする喫茶店
言葉づかいや身振り・手振りも執事そのもの


第七章 時代の荒野を駆け抜ける男

空き家再生の仕事をしている石神井が
みちるのお茶会に使っていた洋館を
買い取って
昔活躍していたのに
今はテレビに出なくなった人たちと
会える場にしようと言い出す

実家の処分
思い出がどうとか
家族の歴史がどうとか言って
家の処分に反対する
そのうちに物件の資産価値は下がりつづける

遺体の一時保管場所に
困っている葬祭業者は
本当にたくさんいるんだろうか?

廃業したファミレスやコンビニ
回転寿司の店舗が
葬祭場になるご時世だって


第八章 うつせみの庵へ、いつか、ようこそ

石神井の新しいビジネスは
「うつせみの庵」

民泊
トイレや水道など必要最小限のインフラ以外は
何も用意していない
照明もない

ターゲットはアラ還の悩めるオヤジたち

自分の居場所を見失いつつあるアラ還オヤジ

こんな商売成り立つのか
利用する人いるかな

それを仕事にする石神井には理由があった

熟年離婚され、一人暮らし
自宅火災で亡くなった父親の存在

夫婦でも親子でも友人でも
二人で同じものを見ているときの方が気が楽になる

これはわかる

正面より横
困ったときはドライブ
大事な話は車の中

正体がばれたみちると
美沙との再会はそんなシチュエーションの中で
うまくいった

バラの季節は初夏だけではない
俳句でも冬の季語になっている
冬薔薇(ふゆばら ふゆそうび)
寒薔薇 (かんそうび)

「ふゆそうびスノータイヤもふゆそうび」

第九章 アラ還夫婦の結婚記念日


美沙の実家はもがりの家をやめて
売却することになった

解体するんだ

自宅を取り壊す人はいつも迷う
現場を見るか、見ないか
我が家の最期を見届けるか、見届けないか

ちょうど自宅を売却しようか
考えているときだったので
いろいろ考えさせられた

夫婦で設計した家
子どもも巣立ち
夫は他界

一人では広すぎるけど
やっぱりこの家に
他の人が住むことは
考えられない

かと言って解体も無理かも

この話の元々の題は
うつせみ八景




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