今年最初で最後の雪が
やわらかく
灰色の空から舞って降る
忘れかけた想い出のかけら
拾うように
てのひらで受けたら解けていった
あのころの僕は
こころのままに話す
あの子がすきだった
舞雪が美しい
この間
街で偶然あの子を見かけた
何年ぶりかで見かけるあの子は
現在(いま)を生きてた
あのころの未来にあの子はいて
僕に気づかずに通り過ぎた
忘れるくらいが健常なんだと
あのころのままに元気だった
舞雪がはかなくて
このごろは
ひとりで生きてくのに慣れて
何年でも生涯でもひとりでいられそう
いくらでもひとりでいられそう