ニュースを伝えた後でニュースキャスターが語る何気ないコメント。
聞き流してしまえばなんてことのないコメントだが、注意深く聞いてみれば、そこに仕組まれた罠に気づく。ニュースキャスターは何気ない風を装い、実は世論を誘導するためのフレーズを発信している。
もし彼が主義主張をはっきり述べたのなら、受け手はそのコメントについていろいろ考えるだろう。だが、ニュースキャスターの語るコメントは、視聴者がすっと受け容れられるように巧妙な台詞回しを使っている。「分別」や「良識」といったものに訴えかけ、受け手になるほどと思わせてしまう。受け手は、知らずしらずのうちに自分の考えがある方向へ誘導されていることに気づかない。
怖いな、と思う。
(2011年8月19日発表)
この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第121話として投稿しました。 『ゆっくりゆうやけ』のアドレスは以下の通りです。もしよければ、ほかの話もご覧ください。
http://ncode.syosetu.com/n8686m/