中国の高速道路を走っていると、裸の鉄板コイル(薄い鉄板を巻いたもの)を荷台に固定せずにそのまま走っているトラックをよく見かける。荷台に輪留めを置いて、そのうえに重量約一トンの鉄板コイルをならべて載せるだけ。ロープで縛ったりもしない。かなり重いものだからちょっとやそっとの震動では動いたりしないのだろうけど、そんなトラックの側を走りぬけるときはちょっとぞっとする。もし頭のうえに鉄板コイルが落ちてきたりしたら一巻の終わりだ。
案の定、時々、高速道路に鉄板コイルが落ちている。だいたいは急カーブでしかも急なアップダウンがあるところだ。スピードの出しすぎでハンドルを切り損ね、「おっとっと」という感じで荷台が傾いてしまい、すってんころりんと鉄板コイルが落ちてしまったのだろう。
くわばらくわばら。
(2014年1月6日発表)
この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第280話として投稿しました。
『ゆっくりゆうやけ』のアドレスは以下の通りです。もしよければ、ほかの話もご覧ください。
http://ncode.syosetu.com/n8686m/