きのうご紹介した椿の絵ハガキは、
こちらからの一言に応えてお送りくださったものでした。
こういうのって、やはり、とても嬉しいものです。
なので、先日、話が出た「平常心」なるものについて。
しばらく前、コロナとはあまり関係のないことで、
「平常心」を乱される出来事がありました。
ざわざわざわざわ、
ざわざわざわざわ、
電話を切り終えてしばらくしても、なかなか気持ちが落ちつかず、
あかん、これは今夜、すっと眠れないかも…
と思ったときに、ふと浮かんだのが、漱石の「猫」でした。
その瞬間、あ、大丈夫、と思いました。
「猫」を読めば、きっと、すぐに落ちつくだろう、と。
二年ぐらい前から、ゆっくりペースで、
「名前だけは知っている。でも読んだことはない」
古典シリーズに手を伸ばしはじめていて、
ちょうどそのときは、『吾輩は猫である』を毎日、一章ずつ読んでいたところ。
「猫」を読んでの結果はやはり、そのとおりで、
その晩も、いつもと変わらず、ほとんど一瞬で眠りに落ちたのでした。
そのとき、どの章を読んだのかは覚えていませんが、
今、パラパラとページを繰り、折り目をつけているところを開いてみると
おぉ、さすがに漱石です。
こんなことを、登場人物に言わせていました。
人が気に喰わん、喧嘩をする、先方が閉口しない、
法廷へ訴える、法廷で勝つ、それで落着と思うのは間違いさ。
心の落着は死ぬまで焦ったって片付くことがあるものか。
(中略)
いくら自分が偉くても世の中は到底意の如くなるものではない、
落日を回らす事も、加茂川を逆に流す事も出来ない。
ただ出来るものは自分の心だけだからね。
心さえ自由にする修行をしたら、落雲館の生徒がいくら騒いでも平気なものではないか、(後略)
猫の主人(苦沙弥)が、その日たまたま訪ねてきた珍客に、
家の裏にある落雲館の生徒たちがうるさくてかなわない、とこぼしたところ
滔々と諭される場面です。
珍客が最後に言った、「心を自由にする修行」。
修行とまで行かなくとも、絵を描いたり、本を読んだり、人と話したり、
これをすれば気持ちがすっと落ちつく、という何かは、それぞれの人にきっとあるはず。
個人的には、漱石の『吾輩は猫である』、
ばかばかしくて、珍妙で、かと思うと妙に猫が達観していていて、
ざわつきはじめた気持ちを落ちつかせるのに、抜群の効果あり(実証済み)。
世界が認める名著ですから、いまさら私如きが言うことではありませんが、
「精神安定剤」としても、「猫」、お勧めです。
昆虫観察もお勧め!
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