銀ステ根なし草

銀のステッキ旅行・スタッフの雑記帳

精神安定剤(トランキライザーというそうです)その1

2020年03月25日 | のほほん同志Aの日常

きのうご紹介した椿の絵ハガキは、
こちらからの一言に応えてお送りくださったものでした。

こういうのって、やはり、とても嬉しいものです。

なので、先日、話が出た「平常心」なるものについて。

しばらく前、コロナとはあまり関係のないことで、
「平常心」を乱される出来事がありました。

ざわざわざわざわ、
ざわざわざわざわ、

電話を切り終えてしばらくしても、なかなか気持ちが落ちつかず、
あかん、これは今夜、すっと眠れないかも…

と思ったときに、ふと浮かんだのが、漱石の「猫」でした。

その瞬間、あ、大丈夫、と思いました。
「猫」を読めば、きっと、すぐに落ちつくだろう、と。

二年ぐらい前から、ゆっくりペースで、
「名前だけは知っている。でも読んだことはない」
古典シリーズに手を伸ばしはじめていて、
ちょうどそのときは、『吾輩は猫である』を毎日、一章ずつ読んでいたところ。

「猫」を読んでの結果はやはり、そのとおりで、
その晩も、いつもと変わらず、ほとんど一瞬で眠りに落ちたのでした。

そのとき、どの章を読んだのかは覚えていませんが、
今、パラパラとページを繰り、折り目をつけているところを開いてみると
おぉ、さすがに漱石です。
こんなことを、登場人物に言わせていました。

 人が気に喰わん、喧嘩をする、先方が閉口しない、
 法廷へ訴える、法廷で勝つ、それで落着と思うのは間違いさ。
 心の落着は死ぬまで焦ったって片付くことがあるものか。

(中略)

 いくら自分が偉くても世の中は到底意の如くなるものではない、
 落日を回らす事も、加茂川を逆に流す事も出来ない。
 ただ出来るものは自分の心だけだからね。
 心さえ自由にする修行をしたら、落雲館の生徒がいくら騒いでも平気なものではないか、(後略)


猫の主人(苦沙弥)が、その日たまたま訪ねてきた珍客に、
家の裏にある落雲館の生徒たちがうるさくてかなわない、とこぼしたところ
滔々と諭される場面です。

珍客が最後に言った、「心を自由にする修行」。

修行とまで行かなくとも、絵を描いたり、本を読んだり、人と話したり、
これをすれば気持ちがすっと落ちつく、という何かは、それぞれの人にきっとあるはず。

個人的には、漱石の『吾輩は猫である』、
ばかばかしくて、珍妙で、かと思うと妙に猫が達観していていて、
ざわつきはじめた気持ちを落ちつかせるのに、抜群の効果あり(実証済み)。

世界が認める名著ですから、いまさら私如きが言うことではありませんが、
「精神安定剤」としても、「猫」、お勧めです。



昆虫観察もお勧め!

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