ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅          No2 Ward・・・・・31

2013-11-12 | 3章 デリー中央第一刑務所No2Ward

 刑務所内にビリを持ち込んでいた刑務官3名がメインゲートのチェックでSPに逮捕された。短期間に2度目だ、密告によるものらしい。お陰でビリの値段は1本10ルピーでも入手が難しいくらいになった。供給が止れば必然的に値段が上がる需要があるのだから。
 屑たばこを長さ5㎝くらいのスティック葉巻風にしたものがビリである。20本パッケージが2ルピーで売っている。低カーストのインド人が吸う煙草もどきだ。塀の外にいるとき普段ぼくらは吸わない。だがここでは非常に大切な役割を担っている。スタッフを吸った後ハイの状態をビリで引っ張るのだ、キックするという。ビリの頭の部分を破り中の屑たばこを一部取り出しチャラスを入れる、その後屑たばこを元に戻し吸う、これをジョイントと言うがキック力が強い。スタッフだけを吸っていても平均化したハイしか得られずそれに値段も高い。スタッフとチャラス入りのビリの組合せは強いキックとハイの持続を生み出す。
 ぼくらがビリを吸っているとインド人が近くまで寄って来る。親指と人差し指で摘まんで吸っているのでその部分だけビリの熱で黄色く焼けてくる。そこまで吸ったちびたビリをインド人は狙っているのだ。それを集め小さく刻んで紙で巻いて吸っていた。5~10ルピーもするビリを奴らは買えない。
 ビリが刑務所内に入ってくるルートは3通りあると思う。面会の差し入れ物に隠して持ち込む。次に外部と接触できるのは裁判所への出頭日。ビリを入手しても刑務所へ戻った時の荷物、身体チェックは厳しい。それを免れる方法はポンプである。この部分だけは人権の配慮からか行われない、肛門の中に入れるのだ。ビリをポンプで5パッケージ持ち込んだと自慢していたインド人がいた。テーブルコショーの蓋の部分がない小瓶、そのくらいの大きさだ。それを次々と5個肛門から入れると直腸を通って大腸に達するのではないかと思っていた。だがそうではないようだ。肛門を通り抜けると収縮自在の排泄物一時保管場所のような溜まりの部分がある筈だ。1日食べた物はかなりの量だ、それを溜めるとすれば一定の広さがなければならない。ビニールに包んだビリをそこへ押し込む、それは上に伸びるのではなく円を描くようにして入る。それにしても裁判所から刑務所まで乱暴な運転の護送車に乗って約1時間その苦痛に耐えなければならない。だがこの2通りで入ってくるビリの量は刑務所内で吸われている総量から見ると微々たるものだ。刑務官の持ち込みが主要なルートであることは間違いない。20本入りパッケージ2ルピーのものが刑務所内では50ルピーで仲卸しに流される。10個売れば500ルピーが手に入る美味しいビジネスだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする