夕方、ネパール人を含めて4人でカトマンズ行きについて話し合った。奴は3000ルピーまで値段を下げてきた。がお金の問題ではない、この男が信用できるかどうかなのだ。当初、奴は五万ルピーと言っていたらしい、それを5000ルピーから3000ルピーと下げてきた。一緒に組める人間ではなさそうだ。8日に出発を変更するのだったら偽造パスポートを作れ、5000ルピーで俺が手に入れてやる、とフィリップスが言う。一応、彼に頼んだ。当然、日本のパスポートは無理だが韓国やアジアの中国系まで範囲を広げて探してもらうことにした。
夜になるとあっちこっちで爆竹がなっている、大晦日だ。去年はデリー中央第1刑務所内のCバラックだった。お調子者が眠っている収監者達を起こし回りアフリカンのミサはいつまでも続いていた。保釈で塀の外には出たが2ヶ月で精神病院入りとなった、楽しい事は何もない。残っていたウイスキーを飲んでいると派手に花火が打ち上げられた。1995年の大晦日、来年こそは良いことがありますように。ウイスキーと睡眠薬2錠で眠れそうだ。