次の問題点は、シルバーペーパーの表面に張り合わせてある極薄いビニールだ。これがそう簡単には剥げない、だがこれを剥さないと使えない。包装用シルバーペーパーを5㎝角くらいに切って暫らくバケツの水に浸けておくとビニールが少し浮き出すようになる、その状態になってから剥す。銀紙を破らないように慎重に剥す、難しい作業だ。ぼくは一日に最低2枚は必要だ。
次に必要なのはシルバーペーパーの下からスタッフを焙る火種だ。ライターのように火点が絞れて安定しているのが最適だがここでは手に入らない。新聞紙のようなものは火が広がって使えない。ビスケットや調味料の外箱くらいの厚みがちょうど良い。巾1㎝くらいの細長い紙を用意しておく。包装用シルバーペーパーはかなり薄い、火が強いと収縮したり穴が空いてスタッフをロスしてしまう。下からの火の調整が難しい。
シルバーペーパーの上にスタッフを置く。唇で細いパイプを咥えシルバーペーパーを顔に近付け下からゆっくりと火で焙る。パウダーが茶褐色に丸まり下からの火に追われてゆっくりと転がす、それがこつだ。。良質のスタッフだとラーニングのラインは薄い茶色になる。不純物が多いと滓が残る、そういうスタッフの売人はジャンキーの信頼を失う。塀の中のシンジケートは外の中卸との信頼関係に成り立っているのだ。火が強いとスタッフが転がった後に黒い滓を残して早く燃え尽きてしまう。一度、通ったラインは出来るだけ避ける。一回の煙の吸い込みは呼吸の80%くらい、そこで一度、息を止め今度はビリを目一杯吸い込む。そこで又、息を止める。長く息を止めて吸い込んだ煙を肺から吸収させる、そうすればより効く様な気がして皆そうする。ぼくが一回目を入れ込んで息を止めている間にそのシルバーペーパーをダイクに渡す。スタッフはぼくの物だからぼくからスタートする。それと最後のスタッフの煙をぼくが吸い取り燃え尽きたスタッフの滓を2人で確認して終わる。もしまだ少しでもスタッフが残っているとダイクが判断すれば彼がもう一度吸う。この間ダイクは2回吸うが2回目はぼくが最後に吸う分を残さなければならない。ダイクで吸い終わってはいけないのだ。それがスタッフを持っている者とそうでない者とのルールなのだ。