ぼくとダイクはのろ々と来た道を帰って行った。売店の前に人が集まっている、夕食前トマトと紫オニオンがリヤカーで運び込まれたのだ。アフリカンも買物に来ていた。ダイクは少し立ち話をしていたが直ぐ戻って来た。2人並んで映画館の横を通り過ぎようとした所で前から歩いて来る2人の刑務官を見た。ダイクは小声で
「スタッフを持っているか?」
「ブリーフの中だ」と、ぼく。
近づいて来た刑務官はいきなりぼくをボディーチェックした。何事もなかった。だがもしポケットの中に入れていたら発見されただろう。一本道だ、刑務官を見て向きを変える事は出来ない。それをすれば尚、彼らに不信感を持たせ厳しいチェックが行われただろう。パッキングしたスタッフが発見された側溝はこの辺りだとダイクが教えてくれた。これから先ダイクと組んでいこう、少しスタッフの出費が多くなったとしても。いざという時、彼は何らかの手段を講じてくれるだろう。
2月21日(火曜日)
毎日、同じ事がくり返されている。退屈だ。朝の開錠後、外へ出ると少し明るくなっていた。ヘロイン系のドラッグをやると便秘になる。夜、入れたスタッフの効きが切れた朝どうしてもトイレを済ませておかなければならない。朝、起きると直ぐ電線をスパークさせて火を取りオイルランプに点火する。トイレでお尻を洗う水はミネラルウオーターのペットボトルに入れビリを吸いながらトイレへ向かう。グラウンドはまだ濃いガスが立ちこめていた。