そういえば、チョウ・ユンファって『パイレーツ・オブ・カリビアン3』に出演するんですよね。
映画秘宝などでお馴染みの町山さんのブログに
オーランド・ブルームがユンファ先生と共演出来て感激していたと書いてあった。
オーリーは彼のファンだったらしい。
あれ、もう撮ってるのか。
実はお恥ずかしいミスで言いたくないけど『パイレーツ…』を見逃しているので、
2が始まる前までにちゃんと見ておきたいと思っております。
さてさて、そのユンファ先生の作品から『フル・ブラッド』が今週の家映画。
(花旗少林TREASURE HUNT 1994年 ジェフ・ラウ監督)
かなりネタバレです。
中国に渡り「国宝」を奪ってくるよう指令を受けた
米国工作員のチャン(チョウ・ユンファ)が、
国宝の真相が分からないまま、少林寺に身を隠すことになる。
そこで出会うのが精神病で部屋に拘束されているという
不思議な力を持った少女・シウチン(ン・シンリン)。
チャンは寺で過ごすうちに、彼女や僧侶たちと心を通わすようになる――
この映画、作品ガイドなんかでは「アクション」の枠で紹介されているので、
タイトルから言っても、さぞかし渋いハードボイルドアクションなんだろう、
と思って観始めたら大間違い。
始めは「あれ、コメディ?」と思わされ、そのうち銃撃戦が出てきてほっとすると、
今度はカンフー映画? あれ、ラブストーリー?とどんどん印象が変わってくる。
改めて考えてみると、はじめのアメリカのシーンは必要なかったんじゃないか?
おじさんに相棒のマイケル、駅まで送ってくれた彼女はどうなっちゃったの??
ほったらかしかよ!
強引なストーリー展開で呆気にとられます。
イマイチ国宝の奪い合いの仕組みが説明不足のような気もするし。
ジャンル分けが出来ない映画は、よく出来た映画とは言い難い気がするんだけど、
よく考えてみると、これだけ色んな要素を盛り込めるって、ものすごい技術がいるのかも?
それに場面場面で観てみるとすごく面白く出来ています。
住職とタクシー運転手の功夫シーンとか
(なんで戦う必要があるのかも不明…)、
メガネ小僧のチンランの存在そのもの(かわいいです)、
チェンが寺の慣習に反発するところは「天使にラブソングを…」的な展開だし、
(だからといってゲームボーイあげたりジャンクフードを持ち出すのはどうかと思うけど。)
チャンとシウチンの飛行シーンなんかはファンタジー映画です。感動的。
シウチンの場面は特に色彩が美しい。
トータルで見るとコンセプトがないけど、部分部分はいいとこどり、
映画のベスト盤みたいな感じでしょうか。
私が好きだったのは、チャンの安全と引き換えに売られることに同意したシウチンを
チャンが助けに行く場面。
祝杯をあげる密売の首謀者トンと部下たちがいる食堂の外で、
見張りの男たちが乗っていた車のラジオをつけるチャン。
「月夜の下で 私を見つめて――」
ふたりの過ごした日々を思わせる歌が流れる中、
食堂で、寺の部屋から見えた梅の枝を手に、ひとりうつむくシウチン。
「愛しているかと訊くあなた――」
賑やかに酒をグラスに注ぐ男たちの手元から、
一升瓶にガソリン?を注ぐチャンの手に画面が移る。
ゆっくりとした足取りで一升瓶を道の脇に等間隔でおいていく。
「私の心は決まってるけど
月を見て黙っていました――」
足に紐を巻きつけた犬が食堂の中に忍び込み、
テーブルの足に紐を絡み付ける。
犬が入ってきたドアから外気が入り、
何かいるのかと外へ出て行く店員たち。
素早くチャンが鍵をかける。
「月夜の下で私を見つめて
愛しているかと訊くあなた――」
トンがライターで煙草に火を点けると、
マッチ箱の中のマッチ全てに火をつけるチャン。
食堂の向こう側には「給油所」という看板。
「どうかあなた気付いてください
月が何か語りませんか――」
ラジオから流れる歌が間奏に入った…
と次の瞬間、大爆発が起こる。
急発車した車に結ばれた紐で食堂のテーブルが転倒し、出口が塞がれる。
外に繋がった紐から火が伝い、それを見た男たちが窓ガラスを割り次々と外に出ると、
そこにマシンガンを構えたチャンが!
カカカカッコイ―――!!!
やっぱ男たるもの、女を命がけで守らにゃあきません!
「構わないさ 彼女のためなら死んでもいい」と言えにゃああきません!
…ここだけ説明するとハードボイルド+ラブストーリーなんだけどね。
自分の記憶力のよさに感心しちゃった。
ちなみにこの曲、テレサ・テンの「月亮代表我的心」という曲。
どおりで沁みるわー。
「いつの日かこの愛を」に先に使われていたようです。
そんなわけでこの映画、三回くらい見ると愛着が湧いてきます。
キーワードは「召し上がれ」「上海灘」「風鈴」「卵」、
あと「雪」と「花」ね。
こちらのページに画像が載ってて卒倒しそうでした。
ン・シンリンかわいい!
当時、自分と同じ年とは思えない…
なんだかすでに懐かしささえ感じちゃうわ。
良作じゃないのに愛すべき映画です。
フル・ブラッド [DVD]
二本目は『恋人までの距離<ディスタンス>』のふたりが再会する続編、
『ビフォア・サンセット』ですが、
もうこれは何もコメントしません。
見なさい!
おすぎ口調であえて言わせていただきたい。
私は『恋人までの距離<ディスタンス>』『ビフォア・サンセット』を枕元において寝るよ。
それほど愛すべき映画。
一言付け加えると、イーサン・ホークが一瞬、
『マシニスト』のクリスチャン・ベールかと思いました。
顔、ガリガリです。
ジュリー・デルピーはほとんど変わってないのに…
それと『1:99 電影行動』というのも観ました。
これはSARSなどで元気を失った香港を、
映画界から活気を復活させようという試みの映像集。
そうか…SARS、あったなぁ。
忘れないというためにもこういう作品は残す意義があるのかもね。
チャウ・シンチー、アンドリュー・ラウ、アラン・マック、ツイ・ハーク、フルーツ・チャン、メイベル・チャン、アレックス・ロウ、アンディ・ラウ、 トニー・レオン、サム・リー、アンソニー・ウォン、ジャッキー・チュン、エディソン・チャン、 カリーナ・ラウ、チャップマン・トー、ショーン・ユー、アーロン・クォック、などなどなどのそうそうたるたるメンバーで制作されています。
分からない人にも、観たことある人ばっかりという、
短いながらも豪華なボランティア映像集です。