滞在6日目。
ついに"55 Days"を見る日になりました!
奇しくも以前見に行った"The Recruiting Officer"からちょうど7ヶ月後。
この日のために私はどれほど…(涙)
その前に、前日行って入ることが出来なかったバンケティング・ハウスの見学に再挑戦です。
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昨日と同様、まっすぐWhitehallへ向かいます。
この日はちゃんと開館していました! よかった!
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入口の上にあるチャールズの像の下には
"HIS MAJESTY KING CHARLES 1st PASSED THROUGH THIS HALL AND OUT OF A WINDOW NEARLY OVER THIS TABLET
TO THE SCAFFOLD IN WHITEHALL WHERE HE WAS BEHEADED ON 30th JANUARY 1649"
と書いてあります。
中に入って、突き当たりの売店でチケットを買うと、
お姉さんが「地下で解説のビデオ上映をしてます」と教えてくれたので、まずビデオを見てからホールに向かうことに。
このビデオ上映している地下にはチャールズの妻のヘンリエッタの肖像等が飾ってありました。
売店の前を通って階段を上ると踊り場にチャールズの絵が。
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上り切った場所にも飾られてあります。
音声ガイドによると、この階段の窓からチャールズは処刑台のある外に出たらしいです。
入口のプレートにも書いてありましたね。
中に足を踏み入れると、
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天井いっぱいにルーベンスの絵が。
チャールズは芸術に造詣が深く、彼によって英国王室の美術品コレクションの礎が築かれたそうで、
このルーベンスの絵もチャールズの希望で依頼されたものでした。
アントワープでルーベンスがこの天井画を描き、
キャンバスを丸めた状態で船で英国まで運ばれ、天井に設置されたそうです。
これだけの大きな絵を運び込むのは、例え絵だけだとしても相当大変だと思うのですが、
どうやってはめ込んだのかも気になります。
実際、現在の修繕作業でも、天井まで届く足場を作るのは時間の掛かる作業なんだとか。
(屋根裏はもう数十年掃除されてないらしい。)
建物の設計はイニゴー・ジョーンズによるもの。
現在ではバンケティング・ハウスのような白いルネサンス様式の建物が増えていますが、
建てられた当時はとても珍しいデザインだったらしい。
内装の柱は一階と二階の様式が異なっていて、美しく落ち着いた空間になるように建築されているのだそうです。
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ルーベンスの絵にはチャールズの父であるジェームズ一世が絶対的な存在として描かれています。
この父子が統治した時代には、市民の病気は、王が体を触ることで治癒すると信じられていたそうで、
神から支配する力を与えられた者という、特別な存在であると"市民には"信じられていたかもしれません。
そんな王の処刑を見た民衆からはうめき声が上がり、「こんな人々の声はもう二度と聞きたくない」と思わされたとか。
Whitehallに面した中央の窓際のソファに腰をかけて外を眺めながら、
処刑が行われた、その時のことを思いました。
まさにこの窓の外で、刑が執行されたのです。
断頭に使われたブロックは、重罪人に使う高さの低いものだったそうで、
この後に見た芝居でも、王が「ブロックが低すぎる」と言うシーンが出てきます。
ちなみに、処刑時のチャールズは寒さに凍えて周りから恐怖に怯えていると勘違いされないように、
上着を2枚着ていたそうなのですが、
芝居の中では「3枚着ている」と言っていました。
どっちが正しいのか、それとも劇作家の意図があるのか…。
チャールズの死後は、護国卿となったオリバー・クロムウェルも晩餐会の会場としてこのホールを使ったそうです。
スチュアート朝の王が描かれた天井画が処分されなかったのは、
物理的に外すのが難しいことと、ホールの使い勝手がよかったせいかも分からないですね。
帰りは音声ガイドを返却しつつ、
せっかくなのでバンケティング・ハウスの解説本を購入しました。
まだ読み込んでないですが…こんなにバンケティング・ハウスについて考える機会もないでしょうから。
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外に出て、ついでに向かいのホーズガーズをパシャリ。
そしてトラファルガー広場では、同じようなアングルでチャールズ一世の像も撮影。
その後、ナショナル・ギャラリーに寄って、
Room 31の、アンソニー・ヴァン・ダイクの部屋に向かいました。
Room 31は、正面玄関からセントラル・ホールを抜けてまっすぐ、突き当たりにあります。
歩いて行くと、部屋に入る前から、アンソニー・ヴァン・ダイクの描いたチャールズ一世の巨大なポートレイトが目に入ってきます。
しばらく、ベンチに腰をかけて肖像画と向き合っていると、
「そんなに極悪な君主だったのかなぁ」と思えてきます。
付け焼き刃のような私の現在までの知識では明確な答えは出せませんが、
処刑されたことで、王のイメージはむしろ、民衆の間に失われた君主として色濃く残ったようにも思えます。
そして食事後、夕方近くになってから、芝居の上演されるSwiss Cottageへ向かいました。
ようやく、チャールズ一世が処刑されるまでの55日間を垣間見る時がやってきます。
その夜は、なかなか刺激的な一夜となりました。
…続く。
ついに"55 Days"を見る日になりました!
奇しくも以前見に行った"The Recruiting Officer"からちょうど7ヶ月後。
この日のために私はどれほど…(涙)
その前に、前日行って入ることが出来なかったバンケティング・ハウスの見学に再挑戦です。

昨日と同様、まっすぐWhitehallへ向かいます。
この日はちゃんと開館していました! よかった!
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入口の上にあるチャールズの像の下には
"HIS MAJESTY KING CHARLES 1st PASSED THROUGH THIS HALL AND OUT OF A WINDOW NEARLY OVER THIS TABLET
TO THE SCAFFOLD IN WHITEHALL WHERE HE WAS BEHEADED ON 30th JANUARY 1649"
と書いてあります。
中に入って、突き当たりの売店でチケットを買うと、
お姉さんが「地下で解説のビデオ上映をしてます」と教えてくれたので、まずビデオを見てからホールに向かうことに。
このビデオ上映している地下にはチャールズの妻のヘンリエッタの肖像等が飾ってありました。
売店の前を通って階段を上ると踊り場にチャールズの絵が。
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上り切った場所にも飾られてあります。
音声ガイドによると、この階段の窓からチャールズは処刑台のある外に出たらしいです。
入口のプレートにも書いてありましたね。
中に足を踏み入れると、
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天井いっぱいにルーベンスの絵が。
チャールズは芸術に造詣が深く、彼によって英国王室の美術品コレクションの礎が築かれたそうで、
このルーベンスの絵もチャールズの希望で依頼されたものでした。
アントワープでルーベンスがこの天井画を描き、
キャンバスを丸めた状態で船で英国まで運ばれ、天井に設置されたそうです。
これだけの大きな絵を運び込むのは、例え絵だけだとしても相当大変だと思うのですが、
どうやってはめ込んだのかも気になります。
実際、現在の修繕作業でも、天井まで届く足場を作るのは時間の掛かる作業なんだとか。
(屋根裏はもう数十年掃除されてないらしい。)
建物の設計はイニゴー・ジョーンズによるもの。
現在ではバンケティング・ハウスのような白いルネサンス様式の建物が増えていますが、
建てられた当時はとても珍しいデザインだったらしい。
内装の柱は一階と二階の様式が異なっていて、美しく落ち着いた空間になるように建築されているのだそうです。
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ルーベンスの絵にはチャールズの父であるジェームズ一世が絶対的な存在として描かれています。
この父子が統治した時代には、市民の病気は、王が体を触ることで治癒すると信じられていたそうで、
神から支配する力を与えられた者という、特別な存在であると"市民には"信じられていたかもしれません。
そんな王の処刑を見た民衆からはうめき声が上がり、「こんな人々の声はもう二度と聞きたくない」と思わされたとか。
Whitehallに面した中央の窓際のソファに腰をかけて外を眺めながら、
処刑が行われた、その時のことを思いました。
まさにこの窓の外で、刑が執行されたのです。
断頭に使われたブロックは、重罪人に使う高さの低いものだったそうで、
この後に見た芝居でも、王が「ブロックが低すぎる」と言うシーンが出てきます。
ちなみに、処刑時のチャールズは寒さに凍えて周りから恐怖に怯えていると勘違いされないように、
上着を2枚着ていたそうなのですが、
芝居の中では「3枚着ている」と言っていました。
どっちが正しいのか、それとも劇作家の意図があるのか…。
チャールズの死後は、護国卿となったオリバー・クロムウェルも晩餐会の会場としてこのホールを使ったそうです。
スチュアート朝の王が描かれた天井画が処分されなかったのは、
物理的に外すのが難しいことと、ホールの使い勝手がよかったせいかも分からないですね。
帰りは音声ガイドを返却しつつ、
せっかくなのでバンケティング・ハウスの解説本を購入しました。
まだ読み込んでないですが…こんなにバンケティング・ハウスについて考える機会もないでしょうから。
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外に出て、ついでに向かいのホーズガーズをパシャリ。
そしてトラファルガー広場では、同じようなアングルでチャールズ一世の像も撮影。
その後、ナショナル・ギャラリーに寄って、
Room 31の、アンソニー・ヴァン・ダイクの部屋に向かいました。
Room 31は、正面玄関からセントラル・ホールを抜けてまっすぐ、突き当たりにあります。
歩いて行くと、部屋に入る前から、アンソニー・ヴァン・ダイクの描いたチャールズ一世の巨大なポートレイトが目に入ってきます。
しばらく、ベンチに腰をかけて肖像画と向き合っていると、
「そんなに極悪な君主だったのかなぁ」と思えてきます。
付け焼き刃のような私の現在までの知識では明確な答えは出せませんが、
処刑されたことで、王のイメージはむしろ、民衆の間に失われた君主として色濃く残ったようにも思えます。
そして食事後、夕方近くになってから、芝居の上演されるSwiss Cottageへ向かいました。
ようやく、チャールズ一世が処刑されるまでの55日間を垣間見る時がやってきます。
その夜は、なかなか刺激的な一夜となりました。
…続く。