
自生している「キンラン」の花である。昔は、どこにでも見られる黄色の花の植物だったという。楢の木を中心とした雑木林の環境変化や野生ランブームによる乱獲などから、めっきりと個体数を減らした。1997年に絶滅危惧種2類(絶滅の危機が増大しているもの)に指定されている。生きるための条件が複雑で、栽培は不可能に近いという。フィールドに置いたままで楽しむべき。
「キンラン」はラン科キンラン属の多年草。見た目にも清々しく鮮やかな緑色の茎を2,30センチすっと伸ばし、引き締まった黄色(黄金色)の花を数厘つける。花は花弁を全開せず慎ましい。黄色系の花はフンワリムードが多いが、この花に会うと“凛”と引き締まる感じがするのは私だけか。好きな花ベスト5の特別バージョン。
このランの自生地を偶然に知ったのが4年程前で植物に興味が膨らんでいた頃。最初は“凄い綺麗な花”ぐらいだったが、図鑑で調べて珍しいラン科の植物と知った。以来、私とカミさんの秘密の場所とし、毎年訪ねている。ここには白い花をつける「ギンラン」も自生している。
「秘密の場所」で今年は、芽を伸ばし始めたばかりの若い個体で、二株ほどしか見つけられなかった。昨年はもう少し多かったはず。自生地の辺りをイノシシと思われる動物が、地面を掘り起こした形跡があちこち残っているのが気掛かり。一雨降れば、もっと芽を出してくれると期待している。“まだ早すぎた”と思いその場から下ると、人家に近い場所(林の縁)にこの花が咲いていた。今年も会えた。
※この植物は、人工的に育てるのが極めて困難ということです。正常に生活するにはラン球根(ラン菌)が欠かせず、しかも独特な菌根なのだそうです。菌根を通じ、周囲から栄養分を取得しており、生育環境も独特。従って、プロが育てても数年しか生きず、事実上栽培は無理です。盗掘は止めましょう。販売することも止めてください!!!
※11日から週末まで帰省するため休止します。