京呉服わき ごふくや日記

着物って楽しい!
呉服屋の女将の独り言?楽しいことや裏話、思うままに・・・

シンプル イズ ベスト

2008-04-24 13:02:48 | ひとりごと
以前から私は、シンプルなものが好きなのですが
最近年齢のせいもあるのか
シンプルな、無駄のないもの に心惹かれます

着物に限らず、食べるもの、着るもの、家具や器など身の回りのもの・・・
すべてに飽きのこないものって、シンプルで基本的に長い間変わらないもののように
思います。

先日、振袖のお着付けをさせて頂きました。
お客様がお越しになって、突然
「友人のお母さんが着付をしているところがみたいというのですが、見せていただけますか?」
とおっしゃり、
『お着付けを習っていらっしゃって参考になさりたいのかな~?』
と、一瞬どういうことか分からずびっくりしたのですが
お客様のフィアンセがアメリカの方でそのご両親と来日されているとのこと、
それでお母様がご覧になりたいという事で、そういうことならぜひ・・・
ご覧いただきました。

着付けを始め、お尻の上にタオルで補正をしたときでした。
「あのタオルはどうして入れたんですか?」
という質問。
「身体のへこんでいる部分を、まっすぐにした方が帯が安定して、着崩れないのです。
立体的な洋服と違って、平面でできている着物を立体的な身体にキレイに着せるためです」
というような説明をしたら納得なさってました。
(もちろんお客様の通訳つき・・・こんなとき英語ができれば・・とつくづく思うのですが)

そんな質問を受けて、着付けながらふと考えました
着付けをするとき、腰紐にゴムのベルト、コーリンベルトをお持ちだったので使ったのですが、
『あ~、外国の方の前ではこういう便利グッズを一切使わないで、
シンプルに紐と伊達締めで着付けたほうがよかったかな~』
見せてはいけないものをみせたような気がしました。
キレイな振袖の下の内情・・


そもそも、昔は便利な着付けグッズなどなくホントにシンプルに着物を着ていました。
それが、着付教室で「キレイな」着付を習うようになり
教科書どおりの雑誌のモデルさんのように着る!ためにいろいろな道具も考案され
ました。

実は私も、自分でいろんな道具を見たり使ったりした結果
ふだん、ウエストベルトとコーリンベルトを愛用しており、偉そうなことはいえません

が、なるべく着物はシンプルに着たいと思います。

以前に読んだ群ようこさんの本に、襦袢のことで同じようなことを書いていらっしゃいました。
簡単に着られるつけ衿についている衣紋抜きや紐、いっぱいいろんなものがついて「大リーグ養成ギブス」のようで、着物を着てしまえば外からは見えないのだけど、脱いだときにかっこ悪く情けない感じがする、誰に見せるわけではないけれど・・・見えない部分も見苦しくないようにしておきたい
というようなことを。
(私も同感!大きくうなずいてしまいました)
また、やっぱり作家さんだったと思うのですが、着物を脱いだときに
金具やら補正の綿やらパットなど、いろんなものが身体からポロポロ出てくると
興醒めしてしまう・・とも。



デパートでデモンストレーションして補正用品や便利な下着、用具を紹介していて
ちょっと聞いていると、それがあれば「私にもキレイに簡単に着られる」と
ついつい買いたくなってしまう気持ちもよくわかります


でも、私は基本的に
「余分なもの」は使わないでシンプルに着物は着たいと思うのです。
やっぱりそれが自然で美しい気がするのです。

(デパートで買った便利グッズ、皆さん使いこなしていらっしゃいますか?

補正も必要最小限、足りないところを補うくらいにしたい。
痩せたお嬢さんが振袖の着付をしてもらったときにバスタオルを巻かれた
と時々お聞きします。
バスタオルを巻くほど補正をすれば、その方の本当の身体つきはなくなって
しまうのではないかと思うのです

着付教室では帯結びも「改良枕」と呼ばれる器具を使うことを勧めるところも
ありますが、私は好きになれません。
背中に手がどうしても回らないといわれるとつらいし
きっと愛用なさっている方もいらっしゃると思いますが
私は背中にあの器具を背負いたくない・・・

着物もシンプルに着るのがやっぱり美しいと思うのですが・・・


今日はちょっと書きたいこと脱線してしまったかも・・
「シンプルに・・・」
に関してはもっと書きたいことがいっぱいあって
また今度


写真は話題に関係なく
今年お勧めの浴衣「松煙染の絹紅梅」です
とっても素敵です








コメント (2)
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