京呉服わき ごふくや日記

着物って楽しい!
呉服屋の女将の独り言?楽しいことや裏話、思うままに・・・

一度なくしたら、戻らないもの

2015-10-31 17:41:18 | 仕事
10月最後の今日は、ずいぶん寒くなりました。
街は、ハロウィンや、七五三のお祝いも始まり、きっと賑やかなことでしょうね。


ここ何年かのハロウィンの様子を見ていて、なんとなく乗り切れないのは
私の歳のせいだけではない気がするのです。

そもそものハロウィンの意味を考えると、なんだかね~~と

外国のものを日本なりのイベントとして楽しむのもいいけれど
日本の文化や大事なものにもちょっと目を向けて~と叫びたくなるのです。

こんなものを目にしていると。
それで、今日は、皆さんにも見ていただきたいと・・・思い立ちました。





この反物は
人間国宝、故・児玉博さんの型紙を使って
現代の名工・浅野栄一さんが染められた細かい縞の江戸小紋です。


縞彫りの第一人者と言われた児玉さんが亡くなられてから、もう20年以上。
残された型紙も使っているうちに、傷んで使えなくなります。


その、使えなくなった型紙をお借りしました。





型紙の縞がバラバラでは、染められないので
細い縞と縞をつなぐために、糸を入れる技術があります(糸入れ)
繊細で根気のいる技術で、糸入れにも人間国宝の方がいらっしゃいましたが
もうその技術を持っていらっしゃる方はありません。





この型紙のようになってしまうと染められないのです。
今、現存する児玉さんの彫られた型紙がなくなってしまえば、もうこの細かい縞は染められません。





そして、児玉さんの型紙を使って、この細かい「玉縞」と呼ばれる縞が染められる職人さん・浅野栄一さんも
普通なら、とっくに定年退職をなさっているお年です。
日本の着物や帯は、こうした、高齢の職人さんたちが支えていている状況です。今はまだ・・。





上の3色を使った縞は唐桟縞といい、日本では浅野さんしか染められないと聞いています。


そんな物なくなったってちっとも困らない・・
プリントや、インクジェットで染めた着物なら、きれいで安くて、それで十分・・。

そう考えられる方もいらっしゃるでしょう・・・

でも、私は、この反物を見ていると、寂しいし
皆さんにもこういうこと、知っていて欲しいと思います。






最後に、帯と小物をコーディネートした唐桟縞です。
かっこいいですよね。

江戸小紋のこと、伊勢型紙のことなど、ここでは詳しく書ききれていませんので
興味のある方は、お越しくださいませ・・。



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