アートセラピー「心のお絵かき」の世界

アートセラピストで妻で母で女の、楽しく豊かでゆるい人生後半日記。

コラージュは・・・

2012-08-24 10:08:29 | アートセラピー
少し前の話ですが、7月の平塚市美術館での、親子コラージュでのお話。

初めて参加の親子さんがいました。
小学校1年生の男の子と、そのお母さんです。

コラージュの説明をし、思い思いに作ってもらっていました。

この日は、珍しく参加者が少なかったので、おひとりおひとりと、ゆったりお話ししながら
楽しく進めておりました。

お母さん、雑誌類から好きな写真を選んで切るところは、たいへんノリノリで、テンポも良かったのです。

が、並べる、貼る、という段階で、たいそう苦しんでしまいました。

「うまくできない・・・」

「うまくできない」と、一言で言ってしまうと「あら、大丈夫ですよ、楽しくやれば。」で
終わってしまうんですが、実は、いろんな要素がからみあっての「うまくできない」なんですね。

このお母さんは、決して「人の目」を気にして、「素敵な作品」を作ろうとしていたのではないのです。

それで「うまくできない」とおっしゃっているのであれば、私も
「このコラージュのワークは、作っているプロセスを味わい、楽しむものですから
素敵な作品を作るのが目的ではないのですよ、だから、できばえなどは気にせず、自由に作ってくださいね。」
と言ったと思います。

実際、今まで、そのような助言をしたことはたくさんあります。

が、このお母さんの問題は違いました。
「自由にやろうとしても、自由にできない。」

これはかなり、的をついている感覚です。
真剣にやろうとしている人なら、大なり小なりぶちあたる感覚だと思う。

苦しんでおられましたね。
だから私も、隣で一緒に苦しみました。わかる感覚ですから。

そして、最後に、今まで切ったモチーフをがーっと真ん中にどんどん重ね張りして終わりました。

「こんなにも、自由になれない自分がいたんだってわかりました。」

それでいいのです。

すばらしいことを発見されましたね。

それでいいのです。

これが、コラージュのワークなのです。