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伊藤貫の真剣な雑談 - 19 ( 過去3000年の国際政治 )

2023-07-28 12:11:43 | 徒然の記

         3. 「伊藤貫の真剣な雑談 ( 第2回前半 )」 ・・リベラル派のパラダイム

 中断していた氏の雑談を紹介します。

 ・これからリベラル派の3つのパラダイムを説明する前に、国際政治の構造がどうなっているのかを簡単に説明する。

 ・国際政治には構造というものがあり、これを明確に意識しないと話がなかなか進まない。国際政治の特徴を4つだけ手短に説明する。

  1.  過去3000年の国際政治では、一度も世界政府が存在しなかった

  2.  過去3000年の国際政治では、一度も共通の価値判断、文明観、経済イデオロギー、政治思想が存在しなかった

  3.  過去3000年の国際政治では、国際機関が主役になったことは一度もない

  4. 過去2500年の国際政治では、バランスオブパワー政策 ( 外交 ) が行われてきた

 この4項目が国際政治の特徴で、氏が一つずつ説明していきます。3000年前という時間軸をなぜ持ち出したのか、理由があるはずなのに説明がありませんので、ネットで調べました。(「ヤフーの知恵袋」)

  中国・・周の時代 ( 紀元前1046年から紀元前256年の古代中国の王朝 ) 

  日本・・縄文時代後期  ( 紀元前1万4千年から紀元前2千4百年 ) 

  ギリシャ・・ミケーネ文明が異民族侵入により崩壊し、都市国家が生まれていた ( 紀元前1200年頃 )

  他のヨーロッパ・・部族社会

 こういう世界を念頭においての話だということになりますが、なぜ3000年に基準を置いたのか、理由を説明する方が親切な気がしないではありません。

〈 1.  過去3000年の国際政治では、一度も世界政府が存在しなかった 〉

  ・過去3000年間、世界を管理する警察、裁判所、立法院などが存在しなかった

  ・過去3000年間の世界は、端的にいうと無政府状態だった

  ・無政府状態ということは、何でもありの世界だった

  ・無政府状態とは、どんな約束事をしても、どんな条約を結んでも、どんな制度を作っても、強い国が勝手なことをすると誰も処罰できない

  ・これが過去3000年間の国際政治の特徴である。

 過去の3000年当時を思い描きますと、世界を管理する警察、裁判所、立法院などが存在しないのは当たり前の話です。だからと言って当時の世界を「無政府状態」と断定するのは、氏の得意とする極論のような気がします。「世界政府」という概念を持つ後の世の人間がそう考えるだけで、当時の世界は無政府状態というより、「それが当たり前の世界」、普通の言葉で言えば「弱肉強食の世界」です。

 この議論を押し広げて現在までも含め、「これが過去3000年間の国際政治の特徴である」と断定するのは、どう考えても強引な意見ではないでしょうか。 

〈 2.  過去3000年の国際政治では、一度も共通の価値判断、文明観、経済イデオロギー、政治思想が存在しなかった 〉

  ・単に世界政府が存在しないだけでなく、価値判断の面で、どの国も、どの文明国も、自分の信じたいことを勝手に信じていた。

  ・どのイデオロギー、どの価値判断、どの宗教が正しいかということを判定する人がいなかった。

  ・2021年、2022年になっても、どの価値判断、どのイデオロギーが正しいかの結論が出ていない。

 世界が3000年前から、共通の「価値判断、文明観、経済イデオロギー、政治思想」を持っているとしたら、その方が不自然で異常な話になります。共通のものがない世界はダメだというトーンで氏が説明しますから、どうしても「祭りの薬売り」の姿が浮かんできます。

 むりやり異を唱えているのでなく、自然に生じる疑問を述べていますが、読む人によっては氏の話を素晴らしいと聞くのかもしれません。スペースがなくなりましたので、続きは次回といたします。

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