術後の伯母を見舞うために父と北上にある県立中部病院へ。
80代後半の伯母はいたって元気な姿を私たちに見せてくれました。
「かあさん(私の母)と同じになったよ、腸を切った長さは私のほうが少し短いみたいでね。これでまた長生きしなければならなくなった」とかすかにほほ笑む母の姉。
そして退院後の畑の草取りをすでに待ち望んでいる様子。
母と比べて伯母はポジティブな人だと常日頃感じてはおりましたが、病気に対する反応も驚くほど前向きなのです。
母は病気を悲観しました。手術から約一年後に旅立つまで、ガンに見舞われた己の人生を悔やみ暗い気持ちを家族に向けました。特に父にはあからさまにそのつらさをぶつけました。父はそれをどう受け入れたらよいか最後まで戸惑いおろおろしっぱなしでした。病室で夫の自分をののしり責める妻をただじっと受け止めるしかない父でした。
「緩和ケア」とか「ホスピス」という言葉は10年前の岩手県ではまだまだスタイルが確立されていませんでした。
術後1年、母の身体はあちこちに転移したガン細胞におかされておりました。
「治る見込みの無い人は入院させない」という迷信のような現実に主治医のいる総合病院での入院は叶わず、近くの小さな病院を紹介されて1週間後、母はあっけなくこの世を去りました。
「スイカが食べたい」と言った10月後半。あちこち探してやっと手に入れたスイカでしたが、それを口にすることは叶いませんでした。
そろそろスイカの季節がやって来ます。
この季節、古い小さな病院の一室の片隅の小さな冷蔵庫の中に最後の最後まで置かれていたスイカを思い出すのです。
スイカ、食べさせたかったな。母に。
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【第4回岩手養生塾】
主催:なんでも医療相談室 倖
(ガンなどの病により抱えることになった悩みや不安を解消し、健康に生活するための医療相談室です。)
講演:帯津三敬病院名誉院長 帯津良一先生
日時:7月16日(土) 13:30~15:40
場所:岩手県公会堂大ホール参加費:前売り2,500円 当日3,000円
お問合せ事務局(オネット企画内 小野)
電話/FAX 019-698-1216
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