まるで、何かに導かれるように山に向かって走り出したのでした。
行き先は「くずまき」
紅葉も終わり、みぞれ混じりのつめたい空に木立が不揃いに並ぶ山並み。里山の風景。
このような景色は岩手ではどこにでも見られるのだけど、やけにしみじみ身に沁みるなあ・・・
どうやら無性に峠を越えたくなる時はどこかに癒されたいなってさわさわ感じてる時みたい。
二ヶ月の間に二度も救急車のお世話になってから、父は日増しに気弱になっているようです。
いずれ、こういう日が来る、と、2年くらい前からはちゃんと覚悟はしていて、驚きもしないけれど、
そばにずっとついていてあげられないもどかしさが、どうも自分の心をゆらゆらとさせているみたいです。
「今日は泊まっていくのかい?」
と、期待混じりで声をかけられ、
「ううん、帰らなければいけないのよ。」
という答えにちょっとしょんぼりしている父。
一緒に住めればいいのだけれど、いろんな環境がそれを可能にできない事情。
う~ん、ここはひとふんばりどこだな、私。
私を全身で頼りきっている可愛い父です。
それに心から答えてあげたいと思う私です。