田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

黒猫と留守番

2007-06-01 17:53:32 | Weblog
6月1日                                 
家はぼろやだがかなり広い。広い間取り。ささやかではあるが庭付きの家に住むことが出来るのも田舎住まいの故だ。バラの香りを乗せた風が部屋から部屋へと吹き抜けていく。部屋に五月の薫風が流れている。こんな贅沢は都会に住んだのでは味わえないだろう。それでも、わたしは東京にもどりたい。わたしの住む田舎ではなかなか友達が出来ないのだ。これはわたしが悪い。この年になってまだ作家、フルタイムの作家になることを夢見ているのが悪いのだ。どうしても物書きとしての目で田舎の生活を見てしまう。つい批判的になる。これでは仲間が出来なくても仕方がない。                            
天離る 鄙に五年 住まひつつ 都のてぶり忘らえにけり  万葉集      

病気の両親を看護するために帰省した。50年経ってしまった。わたしが青山に下宿していたときに東京タワーの基礎工事が始められた。昔々のことだ。霞町にあつたシナリオ研究所に通った。四期生だった。たまたまこのたびインターネットを始めた。懐かしい友達の名前を真っ先に検索してみた。北村篤子さんは亡くなっていた。まだ信じられない。本当なのだろうか。小説家となっているⅠ君。彼もペンネームを使っていた。わたしも筆名で小説を書いていた。お互いに知らずに同じ雑誌に書いていたことがあった。なんとまあ、現実は小説より奇なり、といったところだ。平成の初めのころのことだ。たまたま目次で彼とご一緒していたことがあつたなんて、これまた信じられない。彼は書き続けている。かなり売れっ子の作家だ。50年ぶりの同窓会を開いてもらえないだろうか。漫画のシナリオを書き続けているM。出版社の会長になっているN。懐かしいな。わたしのことを覚えてくれているだろうか。こちらは、カミサンの留守にカムバックを図れるような小説を書こうと悪戦苦闘。遅筆を恨みながら北関東名物の雷鳴を聞いている。あせるな。あせるなよ。