4
暗いところでもよくエレナはものが見える。
洞窟の苔むしたたたずまいをたのしんでいる。
うれしそうにはしゃいでいる。
「おれには過激派のサブロウたちの党派を支配する力はもうない。彼らのなすがま
まだ。また千年の眠りにつくことになるだろう。いやもう目覚めなくてもいいよう
な気がしてきている。彼らが平城遷都1300年の奈良に集結する理由すらよくはわか
らない。人の世にさらに介入して、この世を混乱させようとしているのかもしれな
い。翔太。しかしよく訪ねてきてくれた。おれの居場所がよくわかったな」
「え、それっておかしいよ。翔太。サブロウがミヤさんが会いたがっている。マッ
クラの滝にいる。そういったよね」
エレナが二人の会話に割って入る。
「来るわ。来る」
よくここがわかったな。とミヤが初めにいった。
翔太は暗闇の中をよくここにたどりついたな。という意味だと思っていた。
ミヤはよくここにおれのいるのがわかったな。という意味でいった言葉だった。
「翔太。これ罠よ。大勢くる」
「翔太。逃げろ。サブロウにはここは古巣だ。ここでは、ヤッラの実力は倍増す
る。この洞窟で戦うな」
翔太のリッパーはガードバーの所に止めてきた。
立ち入り禁止の標識を真面目に守ったことが悔やまれた。
車の駐車位置まで引き返すには一本道だ。
「古道がある。林の中を登れば車道にでられる。さらばだ。翔太。エレナと仲良く
な」
5
「いるは」
とエレナがつぶやいた。
「いる。アイツラか」
「ちがう。猿よ」
熊笹をわけて移動している。
翔太とエレナの気配におどろいて動き出したのだろう。
「よくこの暗闇でみえるな」
「あらぁ。わたし元をただせば夜行性の吸血鬼ですもの」
エレナが翔太の耳もとでつぶやいた。
翔太は能力を使役することにした。
おぼろにクリッパーが脳裏に浮かぶ。
やはりいた。
車の影に数人かくれている。
車を放棄して歩いて街までてるには遠すぎる。
「翔太の考えていることわかる」
エレナは車道に到達すると走りだした。
車はすぐそこにあった。
わさわさと夜目のきくものたちがエレナにせまってきた。
あいてが女なのでコウフンしている。
エレナは吸血鬼特有の高速歩行に切り替えた。
早い。またたくまに翔太にはその姿の気配すら感じられなくなった。
かすかに月が出た。雲の切れ目から冴えわたった半月が見える。
車のキーを回した。始動させた。
one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
↓
ああ、快感。
暗いところでもよくエレナはものが見える。
洞窟の苔むしたたたずまいをたのしんでいる。
うれしそうにはしゃいでいる。
「おれには過激派のサブロウたちの党派を支配する力はもうない。彼らのなすがま
まだ。また千年の眠りにつくことになるだろう。いやもう目覚めなくてもいいよう
な気がしてきている。彼らが平城遷都1300年の奈良に集結する理由すらよくはわか
らない。人の世にさらに介入して、この世を混乱させようとしているのかもしれな
い。翔太。しかしよく訪ねてきてくれた。おれの居場所がよくわかったな」
「え、それっておかしいよ。翔太。サブロウがミヤさんが会いたがっている。マッ
クラの滝にいる。そういったよね」
エレナが二人の会話に割って入る。
「来るわ。来る」
よくここがわかったな。とミヤが初めにいった。
翔太は暗闇の中をよくここにたどりついたな。という意味だと思っていた。
ミヤはよくここにおれのいるのがわかったな。という意味でいった言葉だった。
「翔太。これ罠よ。大勢くる」
「翔太。逃げろ。サブロウにはここは古巣だ。ここでは、ヤッラの実力は倍増す
る。この洞窟で戦うな」
翔太のリッパーはガードバーの所に止めてきた。
立ち入り禁止の標識を真面目に守ったことが悔やまれた。
車の駐車位置まで引き返すには一本道だ。
「古道がある。林の中を登れば車道にでられる。さらばだ。翔太。エレナと仲良く
な」
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「いるは」
とエレナがつぶやいた。
「いる。アイツラか」
「ちがう。猿よ」
熊笹をわけて移動している。
翔太とエレナの気配におどろいて動き出したのだろう。
「よくこの暗闇でみえるな」
「あらぁ。わたし元をただせば夜行性の吸血鬼ですもの」
エレナが翔太の耳もとでつぶやいた。
翔太は能力を使役することにした。
おぼろにクリッパーが脳裏に浮かぶ。
やはりいた。
車の影に数人かくれている。
車を放棄して歩いて街までてるには遠すぎる。
「翔太の考えていることわかる」
エレナは車道に到達すると走りだした。
車はすぐそこにあった。
わさわさと夜目のきくものたちがエレナにせまってきた。
あいてが女なのでコウフンしている。
エレナは吸血鬼特有の高速歩行に切り替えた。
早い。またたくまに翔太にはその姿の気配すら感じられなくなった。
かすかに月が出た。雲の切れ目から冴えわたった半月が見える。
車のキーを回した。始動させた。
one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
↓
ああ、快感。