畑沢の歴史に関して、二人の大先輩が貴重な本をそれぞれ残してくれました。一冊は昭和2年(西暦1927年)に、当時の徳専寺住職の青井法善氏が常盤村の歴史について調査研究してまとめた「郷土史之研究」で、もう一冊は昭和33年(西暦1958年)1月に有路慶次郎氏がまとめた「畑沢の記録」です。どちらの本も、当時、活字にして印刷することは簡単なことではなかったので、用紙に手書きしてあります。製本は紐で括っただけです。
二つの本は、畑沢などにとって掛替えのない大事な物ですが、その存在すらあまり知られていないというのが実情です。そこで、私はこれらの本をパソコンで書き写して製本し、後世へ残す作業をしております。
パソコンへの打ち込み作業はまだまだ続きますが、その前に私の手元にあるコピーした「郷土史之研究」を頑丈にするために製本してみました。「畑沢を再発見」を三十冊ほど製本したので、こんな私でも少しだけ製本技術みたいなものを覚えました。そのために、「覚えたての技術を試してみたかった」のです。コンビニでA3用紙にコピーした紙を真ん中から二つ折りにし、袋とじ状に約100枚を糊付けしました。「糊」と言っても、澱粉糊ではなく、熱で溶解する化学樹脂です。ホットメルトシート(hot melt seeet)という商品名です。熱はアイロンを使いました。表紙はレザック用紙です。下の写真が完成した実物です。この程度の製本でも立派にその役目を果たしており、使い心地が格段に向上しました。