令和3年4月20日、背中炙り峠の楯跡と古道を見るために、背中炙り峠(山形県道29号線)を通りました。4月になってから畑沢も例年よりもかなり気温が高い日が続き、雪解けが例年以上に早まっています。もしかしたら、背炙り峠の道はすっかり雪がなくなったかもしれないと期待したのですが、残念ながらもう少し時間がかかりそうです。
畑沢から古道に入り、村山市側の県道に出てきました。かなりの部分は雪が消えていたのですが、所々の路面は雪に覆われたままです。特に法面が長い場所には分厚く雪があります。
雪は路面を覆うだけでなく、谷側の路肩に設置してあるガードレールも根元から大きく傾けてしまいました。毎年、このような光景が見られます。凄まじい雪の圧力を幅の広い鉄板で真面に受けるのですから当然です。雪による被害が予想される場所でのガードレール使用には無理があります。なるべく雪の圧力を受けない、表面積が小さいものが適しています。例えばワイヤーロープを使ったものがあります。多雪地帯の山岳地帯で使われることが多いはずです。できれば、降雪前にワイヤーロープを外し、雪が消えてから再び取り付けることができれば、雪による被害はさらに減少するでしょう。
ガードレールの根元をクローズアップしました。支柱のアンカーが雪で谷側に強力に押された様子が分かります。アンカーを埋めた路肩は盛土です。山岳道路の路肩をいじるべきではありません。極めて脆くなります。とてもガードレールのアンカーを支える力はありません。これでは毎年、ガードレールをアンカーごとに修理しなければなりません。経費的に無駄ですし、峠を通れる期間が短くなります。
私は村山市楯岡で産した「楯岡石」と呼ばれていた凝灰岩でできた石垣が好きでしたので、その写真を撮ったつもりでしたが、豈図(あにはか)らんや、ガードレールの変なポーズも写ってしまいました。何とも頼りないアンカーの処理です。もしも車がぶつかった時に、これで役に立つのでしょうか。雪の仕業とは言い逃れできません。
雪はさらに樹木をも巻き込んで道路の邪魔をしていました。今年は特に倒木が多いようで、何ヶ所でも見られました。チェーンソウで切断し、それをトラックに積めば、専門業者ならばさほど問題なく片付けるでしょう。プロは実に手早く処理できます。
峠を越えて畑沢側に入っても、何ヶ所もの路面を雪が覆っていました。
雪崩の常襲地帯では土留めの板が押しつぶされていました。土留めが「板」では無理でしょう。何年もの間、同じ方法を用いています。別の方法が必要です。
畑沢側のゲートに到着です。看板には通行止期間が「当面の間」と記載されています。確かに雪があり、倒木などが通行の妨げをして、このままでは通れません。
ところで、今よりもずっと雪が多く、道路も狭く、舗装もされていない砂利道であった時代でさえも、5月の連休前には住民の利用に供するために、頑張って除雪車によって通行可能な状態にしていました。今は遥かに雪解けが早くなっています。昔よりも早く峠の通行が可能なはずです。
ところが平成26年から時代に逆行して、自然に雪が消えても工事のために、無積雪期間の大部分近くを「工事のため」に通行できなくなってしまいました。その状態が続き、今年は8年目を迎えようとしています。果たして、山形県知事はどのような判断をするでしょうか。「道路は何のために存在するか」、私が期待している知事ですから簡単に回答していただけるものと思います。賢い政治家は「聞く耳」を持っています。賢くない政治家は「耳を貸そう」とさえしません。自分の無能さが露呈することを恐れて、力で押し通そうします。私は無能ですが、それを隠す気持ちはありません。分からなければ教えて貰えばいいのです。頭を下げて教えを請うのは気持ちがいいものです。得をした気持ちにさえなります。