魔性の子 (新潮文庫―ファンタジーノベル・シリーズ) |
教育実習のため母校へやってきた広瀬は、
担当するクラスの中に、不思議な印象の生徒・高里に出会う。
嫌われているようでもないのに、孤立している彼。
広瀬が不思議に思っていた時、
「高里に反抗したり、いじめたりする者は、
不慮の事故に遭遇する」という噂を耳にする。
幼い頃に神隠しにあったのが原因とも言われるのだが、
事件は、高里の意志に関係なく起きているようだと気づく広瀬。
そして悲惨な事件が起こり、校内はパニックになっていく。
高里の身体にまとわり付く、蝋でできたような白い手。。。
得体の知れない動物の気配。。。
彼を救おうとする広瀬だったが、彼も、次第に追い詰められて行く。。。
幼い子供が、白い手に手まねきされる冒頭のシーンから、
何かが起こるぞ。。。という、恐怖と期待で、
ぐいぐい引き込まれてしまいました。
そして、ラストは、人間の孤独や存在価値などに話が及び、
なんとも、胸にぐっと迫るものがありました。
ホラーであり、ファンタジーの要素もあり、とっても夢中になれた1冊です。
この著者の他の作品、「屍鬼」や「東京異聞」も、
ゾクゾク感を味わえるすごく面白い小説なので、おすすめです。