寛樹は40歳を過ぎても独身。。。
会社では、人と深くかかわることを避け、散歩を趣味としていた。
そして、植物好きの彼は、
同僚にすすめられて、「植物診断」を受けるようになった。
(植物診断とは心のカイロプラティックみたいなもの)
そんなある日、彼は妹夫婦を通じて、妙な依頼を受けるのだった。
それは、離婚して2人の子供と暮らすある女性からの依頼で、
その女性の恋人でもなく、子供の父親でもなく、
優しいひとりの男として、の役目を果たして欲しいというものだった。
そして、彼は、その役をこなそうとするのだが。。。
主人公・寛樹の豪華なマンションのベランダには、
小さな、お気に入りの庭園があるのだが、
そこは、蘭、サボテン、アロエ、水仙などの花々と、
その他の雑草などなどでまるでジャングルのようになっている。
そして、時計草も咲いてると書かれていて、「時計草」?!
つい先日、ねこぼーしさんのブログではじめて見た、あの花だ!
知ってる~♪と、ついつい、嬉しくなったのでありました。
この世のものとは思えないような不思議な花です、
興味のある方は、ぜひ、ご覧下さいね ↑
で、この本はどうだったかといいますと、
植物診断というのが、ちょっとわかりにくいのですが、
この女性や、子供たちに必要とされることで、
寛樹が何かに目覚めていく様子は、理解できます。
人と拘ることは、自分を確立するのに役に立つことなんだと。。。
そんなことを思いました。
★スロウハイツの神様(上・下) 辻村深月
「スロウハイツ」
そこは、人気脚本家・赤羽環の祖父が残してくれた古い旅館で、
彼女がオーナーとなり、友人たちに部屋を貸しているのである。
住人たちは、漫画家、画家、映画監督などの卵であり、
みんな、それぞれに夢を持つ。
そして、そこの住人の一人、人気作家チヨダ・コーキには、苦悩の過去があった。
数年前、彼の小説を模倣した大量殺人が起こり、ショックを受け、
それを境に、彼は小説を書くのをやめていたのだが、
新聞に投稿された匿名の少女の手紙に、勇気をもらい、
彼は再び小説を書き始め、復活をとげていた。
そして、あの時の少女らしき人物が、スロウハイツにやってきた。
しかし、彼女の出現により、穏やかな住民の生活に変化が。。。
オーナーの環を中心として、まるでホームドラマのように、
和気藹々と暮らしている様子が、読んでいて心地よく、
私も、「スロウハイツ」に住みたい!と思ってしまう。
気の強いオーナーに振り回されつつも、
住民たちは彼女を見守り、
どこか頼りない、チヨダ・コーキを慕い、
さまざまな衝突を繰り返しつつも、自然と強い絆でつながれていく。
そして、最終章では、環の過去、コーキの過去などが語られ、
数々の疑問が解き明かされていく。。。
「あ。。。そうだったのかぁ。。。」と、納得の思いと、
切なく、優しい光景に、ここでは、もう、涙が止まらなくなるのです。
まさか、こんな展開になるとは思いもよらず、
ただ、ただ、心にしみる、あたたかい涙に埋もれたのでありました。
まるで少女漫画のような物語ですが、すごく、私好み♪
女性には、おすすめかも。。。