2011年7月22日午後3時半、ノルウェー首都オスロの政庁舎で爆弾テロ。8人死亡。
実行犯ブレイビクはそのままタクシーで移動。警察の制服に着替え、ボートでウトヤ島へ上陸。
ウトヤ島ではノルウェー労働党青年部が集まるサマーキャンプが開かれていた。参加者700人。
午後5時、銃乱射。その後、72分間に及ぶ惨劇の死者69人──。
単独による殺人では世界記録という前代未聞の事件。
一応はカヤエミリエ姉妹の話だが、当事者目撃者の経験を丹念に集めて織り交ぜた、かなりの意気込みや執念を感じる傑作。
あの時あの場にいた全ての人間の息遣いや熱気が伝わってくる。
物語というか、人間の意識の集合体とも言える作品。もしかしたら映画としてはあんま面白くないかもせんなw
ブレイビクが未だ生き続けてるのも作品全体の尾を引いてる。
この後味の悪さ。何とも言えない暗さがある。
ホテルムンバイもそうだけど、結局テロリストの勝利なんだよなぁ。
ウトヤ島の被害はある種の人災で、政府の怠慢が原因の大部分を占めてると言われてる。
本人は早く逮捕されたがってたという始末。
政府の失態を嘲笑い、裁判で持論を堂々と主張する。ブレイビクは目的を達成してさぞ満足やったろう。
それに対してテロリストを一切出さず、被害者オンリー視点。
ブレイビクが犯した所業だけを描いた本作。
死刑のない国が唯一できる意趣返しなのかもしれんな。
何とも虚しい抵抗だが、忘れてはならない事件。
では、また
そういやサマーキャンプって何? って思って調べたら、どうやらノルウェーは政党ごとに児童クラブみたいなんを持ってて子供の頃から党員を育成するんだと。
参加型民主主義というやつ。
ブレイビクも政党とか自分で作れば良かったのにな。無理と思ったから銃を手に取ったんやろが。
今や北欧はブレイビクの言った通り、移民の急増が大問題になっている。
人種差別も世界的にかなり先鋭化している。こういう所は先見性があったみたいやな。
もしかしたら奴が早々と刑務所に入ったのは幸運だったかも。
もしブレイビクが辛抱して暴力に訴えず政党を作っていたら、もしくは今の時期にテロを実行していたら。
世の中はもっと激しい潮流になっていたかも分からん。
それとこれと77人の死が釣り合うのか、それも分からん。
世の中、ワケわからん。