おジャ魔女どれみと徒然

おジャ魔女のこと、

日常のこと、

いろいろ。

HEATについて、その死人の世界

2021-04-26 01:50:00 | シリアス・サスペンス

 強盗団のリーダー・ニール。
 ロス警察の刑事・ヴィンセント。

 二人の運命は複雑に絡み合い、
 やがて、逃れられない戦いへ導かれる──。 



 デニーロ×アルパチーノのクライムアクション。
 なんか西部劇みたいだったな。ただ、保安官と悪党の戦いみたいな、完全な二元論じゃないとこがいいですね。人間同士の争い。

 ラストが凄い印象的。
 あれってもしニールがウェイングローを殺しに行かなかったら、ヴィンセントはそのまま妻と娘の側にいられてさ。二人とも幸せな人生を送れたんじゃないか。

 ニールは死に、ヴィンセントは悪党を殺した。
 でも、それで何かが解決したわけではなく、互いに互いのものを失い、奪いあっただけなんじゃないか。

 ニールはニュージーランドで恋人との穏やかな日々を得られたかもしれない。
 ヴィンセントは獲物を追う生活より家族を大事にする人生を選べたかもしれない。

 でも、何かが決定的に噛み合わなくなる。噛み合わないのに意識は擦り合い、追い追い詰め、最後には殺し合う。

 結局、ニールが犯罪者なのは変わらないんですが。
 罰されるべき人間なのは確かなんですが、何と言うか……

 クリスが生き残ったことが唯一の救いなんですかね。
 強盗団なのにアットホーム。お節介デニーロさん好きでしたw

 では、また。




冷たい熱帯魚について、その素晴らしき人生。

2021-04-20 10:10:00 | 刑事・社会

 小さな熱帯魚店を経営する社本は再婚した妻や先妻の娘との冷えきった家庭環境に悩んでいた。

 そんな最中、娘が万引きで捕まってしまう。

 平謝りの社本。
 そこへ助けに入ってくれたのが同業者である村田だった。

 快活な村田に惹かれた社本はその後、何かと懇意になる。
 しかし、村田には恐るべき秘密があり──。



 実際にあった埼玉愛犬家連続殺人事件を元にした作品。

 めっちゃ面白かった。
 中毒性というか徐々に引き込まれてていく。

 事件をなぞりながらも園子温ワールド全開。オリジナリティ溢れる映画。
 ポンジュノ監督の「殺人の追憶」にも匹敵する犯罪映画の金字塔。

 自殺サークル同様、オチが弱いという欠点はあるが。それ以外は全て完璧。

 でんでんって何者? こういうの怪演って言うんやろな。
 てか、犯人の写真見たけど普通にクリソツw

 「ボディを透明にする」。とんでもない迷言もでんでんさんが言うとすげー説得力あるw
 他の役者さんもあんま有名な人はおらんけど、だからこそのリアリティや圧迫感。

 サイコパスが大立回りするだけで、あんま教訓みたいなのは得られんが。
 胸糞で二時間半無駄にしたって考える人もいるかもしれない。

 実際、映画や物語としては本質や中身はあんま無いかなとは思う。
 例えるなら肝心の料理はないのに、調味料や香辛料をガブ飲みさせられてるような……

 胸にガツンと来るスパイシー映画です。
 伝わるか? この例えw

 では、また。




ノマドランドについて、その放浪の人

2021-04-19 03:01:00 | ヒューマン

 一日の王さんのブログを(ry

 まぁ、この作品は見んとしゃーないでしょう。
 アカデミー賞筆頭。もう既に金獅子賞は取ってますから。

 原作はジェシカブルーダーさんって人のノンフィクション本。

 その本を読んで惚れ込んだフランシスマクドーマンドさんがプロデューサーと主演を兼ね製作に至ったんだと。


 ストーリーは、2008年、

 リーマンショックの煽りを受け倒産した石膏会社。
 その従業員が多く住む企業城下町エンパイア。

 倒産ともにエンパイアの住人は立ち退きを命ぜられ、ついには町の郵便番号も抹消される。

 町に住んでいた中年の女性・ファーンは立ち退きの後、どこかへ移住するのを良しとせず、自分の家を持たない車上生活。

 各地の季節労働や日雇いを巡る放浪の人・ノマドとしての生き方を選択する。
 その一年間を追ったロードムービー。


 といった作品になっております。注目作なだけあってやはり面白かったですね。

 これがアメリカの実情であったり全てだったりって訳じゃないんでしょうけど、その一端を描いたという点で優れた傑作。

 正直そんな共感を呼ぶような作品ではない。
 でも、これぐらい特徴的な方が見応えがあります。

 映画全体に流れる雰囲気がとにかく良い。
 実際のノマド生活者の人達も出演してるとか。言われるまで全然気付かんかったw

 素人とは思えない。てか、演技が上手いとかそういう次元じゃない。
 マクドーマンドさんも大女優とはいえ、この溶け込み様……。

 映画の小道具にマクドーマンドさんの私物が使われていたり、
 それぞれのエピソードも本人やノマドから話を聞いて脚本を作ったみたいですから。

 世界観に一切の違和感がないという。没入感と称される所以ですか。
 物語とドキュメンタリーの完全な融合。まさに奇跡の映画。

 叙情的かつノスタルジー。

 人の寂しさや悲しみを通して、切ないからこそ、
 人の暖かさが画面を通して伝わってくる。なんか映画見てて初めて味わう感覚でした。

 社会問題を描いてるんだけど、リアリティよりは感性に訴えかけてくる。
 どこへ行くか目的のある『旅』ではなく、『放浪』を描いてるからこその映画なんでしょうね。

 人間ですから死があり病気があり、車にも寿命がある。
 いつかは終わりが来る。いや、終わりとも言えない何かの区切りが。

 デビットのように家族の元へ戻る人もいればスワンキーのように放浪の果てに亡くなる人もいる。

 ファーンもいずれは何かを選ばなきゃいけない。
 目を逸らしてるわけじゃないんだけど、夫の面影で追うためであったり、放浪を止めれない。衝動とも言えない何か。切り離せない何か。

 肯定や共感は全面的にはできないんですけど、それでも胸を突き刺される感覚。
 今誰しもが持つ疑問に通じてる部分があるんでしょうね。

 てか、アメリカってつくづく良い国だな。多様な生き方を尊重してくれる土壌がある。

 無論、差別や貧富の差など他の問題があり、ノマドはアメリカの雇用形態の変化が生んだ産物でもある。

 誰しもがノマドという生き方を選べるわけではないし覚悟も必要。
 本人達は必死に生きてるだけで。それでも羨ましいと感じた。

 ただ、まあ、平和時なら普通に楽しめる映画なんでしょうが、
 このコロナ禍で別の意味も孕んできたような。

 本当に笑い事じゃ済まされない時代になってきた。

 今やアメリカの失業者は一時5000万人を越え、
 ラスベガスでは25万人が家賃払えなくて立ち退きの危機に瀕してると。

 続報がなくてその後どうなったか分からないんだけど、
 劇中のエンパイアみたく町一つ消えるなんてことも現実味を帯びてきた。

 そもそもアメリカのコロナ禍はテント村という。
 アメリカの貧富の差は極限に達していて日本の派遣村みたいな、ホームレスの居住地が各地で出来とんだと。

 そこでの集団感染が始まり。
 テントで暮らしてるくらいだから病院行く金もない。気付いた時には爆発的に広がってしまった。

 ノマドになれない、放浪すらできない人間も世の中にはいる。
 そのノマドすら、ロックダウン下で州間の移動はできないだろうし。生活も頓挫するだろう。

 多様性を受け入れる土壌も今や変質してきている。

 やっぱこれからは人間が想像だにしない時代へ突入するんかね。
 この映画見た後だとより一層そう感じる。何かしらのメッセージというか皮肉にすら。

 こんな時、ファーンはどこにいるんだろうか?
 今もエンパイアの町に佇んでいるのか。デビットのように家族と一緒に暮らしているのか。

 今、それが知りたい。

 パンデミック下の大阪では3000店舗の飲食店が閉店したという。
 その人達は店を閉めた後、どこへ向かったんだろう。

 知りたい。

 では、また。




自殺サークルについて、その「あなたとあなたの関係は?」

2021-04-14 07:34:00 | 刑事・社会

 冒頭の自殺シーンが非常に有名な本作。
 園子温監督の問題作。

 人同士の関係が希薄になる時代。
 今やアフターコロナで物理的に人との距離を離す時代。

 正直、そんな面白い映画ではないんだがw
 一度見たら忘れらんねーなこれはw ブログに書かなしゃーないw

 まぁ、結局なんのこっちゃって話ですからね。
 この映画見て「?」って思った人はそれでいい。そのまま勝手に生きりゃいいんですw

 コロナ禍でまた自殺率も上がったそうで。人間の悩みは尽きない。
 その悩みを自分のものにできるか? 他人の痛みを感じられるか?

 今の人間にそんな余裕があるのか。
 では、また。



Uボートについて、そのDas Boot

2021-04-13 23:01:00 | 戦争映画

 WW2で大西洋を駆け巡ったドイツ軍の潜水艦「Uボート」を描いた作品。

 1981年。
 まだドイツが東西に割れてた時代なんだな。西ドイツ産の戦争映画。

 元々はドイツ海軍報道部隊所属のブーフハイムさんって人が自身の取材を基に書いた小説が原作。

 出てくるUボートも実在したU96って機体。
 主人公の艦長もヴィレンブロック大尉って人がモデル。

 実体験故のリアリティ。

 三時間半という長丁場だけど、それも納得の濃密度だし、
 時間を感じさせないくらい一心不乱に見れる。

 ほとんど狭い艦内での話なのに、よくここまで緊迫感出せるな。役者の演技力に脱帽。

 ちなみにU96は1943年まで活動。
 45年に退役。同年3月、空襲によって沈没。

 ヴィレンブロック大尉は1986年、75歳で天寿を全うする。
 ということはこの映画も見届けたってことか。

 小説と現実の動向は違うらしい。そこは物語ということでね。
 映画は悲劇的だが、それを聞くとちょっと救われた気分になるな。

 では、また。