おジャ魔女どれみと徒然

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月について、そのきいちゃん

2025-03-02 20:47:00 | 刑事・社会

 辺見庸氏の小説原作。
 2016年に起きた相模原障害者施設殺傷事件から着想を得た作品を実写化。

 ストーリーは、

 元売れっ子作家の洋子。
 彼女は子供が早逝し、そのショックで小説が書けなくなった。

 夫の昌平もアニメーターだが、子供を亡くして以来、作品作りに身が入らず無職となっていた。
 洋子は生活費を稼ぐ為に、障害者施設の職員として働くことになるが……。


 今まで見よう見ようと思ってたんですが。
 やっぱこういう作品って、見るまで覚悟がいるじゃないすか。

 今回、ようやくその覚悟が整って視聴。
 やまゆり園の事件。誰もがよう覚えてる衝撃的な事件をどう映画になってるのか。恐る恐るでしたが…。

 まぁ、普通の映画に仕立てた感じかな。
 あんまり衝撃的な感じじゃないね。

 宮沢りえさん演じる洋子は小説には登場しないオリキャラってことで。
 そのオリキャラを据えて、視聴者が事件に寄り添えるような構成になってる。

 思ったより見辛くはなくて、そこは良かった。
 現実の植松聖被告や事件の経過にも忠実やったし。スッキリ纏められてるとは思う。

 でも、長えけどなw

 映画の尺じゃなく、洋子昌平のドラマ場面が長いぞ。
 それに表現や設定も露骨で、決められたパーツを嵌めてるだけのような。

 あくまでドラマ仕立てで、観客に問うような刺激を避けて、話の流れでやんわりと指摘してる感じ。
 無いとは思うけど、この作品に影響受けて模倣犯とか現れても最悪だしね。主張や答えを上手く濁して終わらせてる。

 けっこう事件自体が異論や賛否を呼びそうで劇物というか、
 それを慎重に映画にしたってのは伝わるし、見応えのある作品ではあれど。

 正直、断言するのが怖いなら、そもそも映画化しちゃあかんと思う。

 まぁ、一応、ただただ『優生論は良くない』という一般論に終始してるんじゃなく。
 犯人のさとくんの意見や心情に迫った内容だとも思うが。

 でも、ラストの結論が一般論に返ってきてるような気がして。
 殺人ダメとか悪いことダメとか、当たり前の結論に返ってきてる。

 その当たり前がなされてないのが日本な訳で。
 せめて最後、洋子の子供が無事に生まれたんか。そこまで描いてほしかったな。

 綺麗事で終わっちゃったよなって。
 臭い物に蓋をして、綺麗事に収めてるのが今の日本社会なんじゃないの?って。

 その核心に迫るような話を求めたんやが。
 結局、見て見ぬふりをするのが一番って、それが答えってこと?
 
 では、また。



あんのことについて、そのサルベージ

2024-10-10 07:05:00 | 刑事・社会

 今年6月に公開された衝撃の実話映画。アマプラに登場。
 時は2020年6月。朝日新聞に掲載された記事から端を発した作品。

 ストーリーは………というかほとんど実話なんですが。
 主人公の杏。彼女は小さい頃から母親から虐待を受け、お金を稼ぐために売春を強制させられていた。

 2018年。杏は売春とともに麻薬に溺れ、とうとう警察に逮捕される。
 そこで聴取を担当した刑事に、元依存症患者が集まる自助グループへ誘われ、売春と薬から距離を取る。

 グループの活動を取材する記者と仲良くなり、介護施設を紹介され、そこで働き始める。
 夜間中学へ通い、知り合いもでき、居場所を見つけ始めた最中。

 2020年、新型コロナウイルスの流行。
 そこから、杏へ差していた光明が徐々に閉じていく。

 といったお話。
 後半の赤ちゃんを預かる下り以外は全て実話とのこと。

 誰も救われぬバッドエンドの絶望映画とのことで、覚悟しながらの視聴でしたが。
 まぁ、そんな見辛くはないな。R12作品で、生々しいシーンはカットだったりマイルドになってる。

 話が淡々と進み、映画として洗練された見やすさやとは思う。
 話は本当に分かりやすくてスルスル頭に入ってくる。でも、もっとグロくて良かったな。

 見応えは少し落ちてる。あっさり感は否めないけど、映画表現として、ここまで持ってきたのは称賛する。
 『子宮に沈める』でも思ったけど、描けない限界はあるから、まぁ、仕方ないかなとも思う。

 バッドエンドながら、高評価絶賛されてる作品。
 個人的な感想を言えば、『うらやましい』と感じました。正直な感想です。

 だって、普通に生きてて、映画になるような人生なんてないもんな。偉人でもない限り。
 最近見たのだと『ニトラム』とか。落ちるとこまで落ち、初めて人生が完結する。そういう生き方もあるんじゃないか。

 自殺する、他人を殺す。もちろん決して褒められたことじゃないんだが。
 ないんだけど……そこから分からない。そっからはそれぞれの心の中にあると思う。

 でも、結局、大事なんは1日1日生きることなんじゃないか。
 例え破滅が分かっていたとしても、1日1日を指折り数えながら生きる。

 例え、今日か明日、自殺したり他人を殺すとしても。
 問題の先延ばしだとしても、1日1日を生きる。それだけなんちゃうかね。

 なんか映画を見てる最中や直後は、そんなに感慨は湧かなかったけど。
 こうやってレビューを書く段になると色々考えさせられる。

 皆さんもぜひ見るべき。オススメです。
 良い映画でした。

 では、また。




CUREについて、そのイスマ

2024-05-12 02:26:00 | 刑事・社会

 黒沢清監督作にして世界的に評価されてる代表作になります。

 ストーリーは、

 3件の娼婦殺人。

 それぞれ犯人が逮捕され解決しているが、首をX字に切り裂く、犯人が動機を話さず茫然自失。

 奇妙な共通点を持つ事件に違和感を覚える刑事の高部。
 それは己の本性を暴く、さらなる狂気への誘いであった──。

 セブンみたいなんを想像してたら意外な展開。
 ダークで荒涼な雰囲気。今の邦画にはない独創性。黒沢監督作は初めて見ましたが、さすがの奇才ぶり。

 伝家の宝刀、横スクロールカメラを見た時は感動しましたw
 小津安二郎監督リスペクトとのことですが、小津監督の人情や哀愁とは違う、黒沢監督の味が出てます。

 横だけじゃなく奥行きも使って、無機質な画角の中に人間が佇む。絵画の世界に迷い込んだかのよう。

 役者陣も完璧。30年前の役所広司さん。
 VIVANTには悪いが、こっちの役所さんの方が好きっすね。VIVANTは映像が綺麗すぎる。脂がのり過ぎ。

 古き良き大映の、骨しかない画質ザラザラが役所さんにはお似合いですw
 萩原聖人さんも、後のカイジから想像もつかないw 昔は窪塚みたいな立ち位置だったんすね。間宮の不気味さ。圧巻の演技。

 のめり込むほど面白かった。ファンが多いのも頷ける。これは虜になります。
 ただ、話としては根本的な内容はなかった。間宮の正体や目的、催眠術の能力の詳細なんかは謎のまま。

 ミステリーなんかホラーなんかサスペンスなんかも分からないw
 そこら辺のツッコミは聞いたら負けというか。「で、お前は誰?」って返されて終わりなんでしょうね。

 ただただ世界観に圧倒される。
 6月に新作『蛇の道』が公開されるそうで。

 かなり気になる。見に行こうかな。
 では、また。



子宮に沈めるについて、その幸せなら手をたたこう

2022-10-12 08:06:00 | 刑事・社会

 アマプラ解禁するという話を聞き、狙ってました。
 2010年の「大阪2児餓死事件」を元にした実話映画。

 コレ見た後だと「ステップ」がいかに甘いか分かりますねw
 シングル家庭は犯罪に及ばないだけで、大なり小なりこんなんだと。

 現実でも、手を繋いでる母子見るとドキッてするよw
 身近に潜む恐怖って感じがして、臨場感があります。

 まぁ、実話映画好きとしては、ちょっと不満が残る出来ではあった。
 現実はもっと悲惨で残酷だったから。これで鬱映画は言い過ぎかな。

 加害者にも家族がいるし、全部精巧には無理なんだろうが。
 設定は、加害者の女性も両親からネグレクトを受けてたみたいで。

 その生い立ちを程よくブレンドした形。で、だいぶマイルド。
 餓死と書いてありますが、正確には食中毒死です。

 2児の姉弟は生きるために何でも口にしたようで。そう、何でも。
 これ以上は俺も言いたくない。やはり現実はさらに残酷なんです

 鬱や暗い話は嫌いだけどさ、どうせやるなら振り切ってほしい。
 じゃないと、社会へ問う意義が薄れてしまうと思う。

 緒方監督の信念には、理解や共感をします。
 でも、もうちょっと芯を突く描写でも良かったんじゃないかと。

 映画表現では、これで限界なのも見てたら分かりますが。
 ぬるい感じはあれど、やはり話題になった衝撃作。

 見る前と後では、間違いなく価値観が変わる。
 そういう作品には仕上がってると思う。

 では、また。

 

祈りの幕が下りる時について、その嘘は真実の影

2021-07-15 16:13:00 | 刑事・社会

 新参者シリーズ完結作。

 砂の器意識と言われるだけあってそれに匹敵する傑作。

 とはいえ、シリーズ見てないとって部分はあるだろうな。
 まぁ、意味分からんという人はガタガタ言わずドラマ全話と麒麟の翼を見てください!! 面白いから!!

 途中ちょっと端折りすぎなのがな~。

 親子で結果的に4人殺してますからね。さすがに殺り過ぎ。
 砂の器はまだ同情の余地ありましたけど、祈りの幕は微妙なラインに差し掛かりつつある。

 気になる点はあれど、概ね二つの親子の因縁を上手く絡めて、スピード感のある作品に仕上がってます。

 ドラマを見た人は間違いなく感動すると思うし。新参者終わるのヤだぁ〜!

 もうずっと余韻が残る。後引く面白さ。
 では、また。