ブログのコメントで教えていただいたオススメ作品を見てみました。
2000年、パルムドールに輝いた傑作『ダンサーインザダーク』です。
けっこう有名人とか、色んな人が好きな映画に上げてるよね。
だから、名前だけは知ってる。相当なトラウマ映画だということもw
ストーリーは、
アメリカのとある町。チェコ移民のセルマと息子のジーン。
彼女は遺伝性の眼病を抱え、失明寸前だった。
息子にもその眼病は移り、彼女は手術費を稼ぐため工場で黙々と働く。
貧しいトレーラー暮らし。唯一の楽しみは息子の成長と、好きなミュージカルを見、歌い、踊ること。
まぁ、皆さん知ってますよね? 俺も今まで何で見てなかったのか、不思議なくらい有名作ですもん。
で、ようやっと初めて見ることになったんですが……
すまん、どういうこと?
さっぱり意味が分からんかったな。
救いがただただないというか、残酷というか……。
そういう鬱を通り越して「なんで!?」って思ってしまう。
結局、全部自分の選択だからなぁ。
なぜ無罪だったり減軽を主張しなかったのか。
なぜ病が遺伝すると分かって子供を生んだのか。
どっかで踏み止まれたはずだったのに。セルマさん、この人ずっとアクセル全開なんだもんw
1人の女性の転落を描いてると言いますか……。
それを端的に、ちょっとドキュメンタリー風なんだよね。
なんか独特な質感と思ったら、これがトリアー監督の撮影方式らしい。
ドグマ95という。トリアー監督の故郷、デンマークで提唱された撮影手法。
手法というかルールか。カメラはハンディ、セット撮影なし、効果音やBGMなし。
ありのままの素材で撮る。そういう主義なんだとか。
まぁ、ミュージカルシーンもバンバンあるから、厳密なドグマ95の作品じゃないらしいが。
このミュージカルも特徴的。主演と劇中歌を担当したビョークさん。
もう、ほとんどビョーク無双なとこありますよねw
この人の白鳥ドレスはニュースで見て、なんか覚えてた。
セルマの内面、膨れ上がる感情や目が見えなくなっても心の中は自由なんだと。祈り歌い踊る。
奔放な感じが何とも女性的。この表現力は圧巻でした。
唖然ともしましたがw 一挙に突き放されてしまう。
ここまで感情移入できない作品、生まれて初めて出会いましたw
本当に傍観してるしかなかった。
共感は出来ないけど、自分ならどうしていたか。深く考えさせる作品にはなってるんかな。
まぁ、どう考えたところで「そうですか……」しか言い様がないけどw
セルマが一つの目的に振り切ってるからね。ただただ息子の為。
でも、いくら息子に病のこと教えたくないからってさ。
親が殺人犯ってのも精神的なストレスになって病状が悪化すると思うんだけど!!
弁護士費用もさ。キャシーはともかく、ジェフは漢気見せて払えよw
なんで見捨てるような真似すんの? ここら辺は脚本の齟齬というか矛盾やと思うんやが。
あえて言うなら、もうセルマは全て諦めてたんかな?
裁判なんて息子の為じゃなく、何ならビルを庇ってたまであるw
死にたかったんでしょうね。
目が見えなくなるって、好きなミュージカルを見れない踊れないとか、そういう次元じゃないやろうし。
日常にすら苦労する。いくらでもやり様は絶対にあったけどね。
詰んだと思ってもおかしくなかったろうな。
投げ槍というか、本当の意味でお先真っ暗。
自分の人生に対しても盲目的な生き方しかできなくなった。
そして、題名に掛かった最後を遂げる。
本来ならもっと奈落に突き落とされる予定だったらしいがw
元々は息子の手術も失敗して終わる原案だったんやと。
それをビョークさんが「いくら何でも……」と反対して変更になったんだとか。
撮影中、ビョークさんとトリアー監督の折り合いは良くなったそう。
後のMeToo事変、ワインシュタインの乱で、ビョークさんはトリアー監督からセクハラを受けていたと告発。
もうむちゃくちゃだよ。なんだよこの映画w
撮影裏までダークとは。マジの深淵やな。
ただ、本当に陰鬱なのは1人の女性の死に様ではなく。
それを止めることもできず、ただただ傍観することしかできない。
この作品を見る全ての人間がセルマの舞台の、観客の1人。
それだけは理解できました。
では、また。