花、
質問: 仏壇の花は、仏様に供えるのに、なぜ人間の方に向けて飾るのですか。
吉天の答え: それは仏様が、人間の心を浄化する道具として所望されたもので、美しい花で人間の ともすれば荒みがちな心を静めるために有るのです。したがって、人間の方に向けて飾るのです。
花から仏の教えを、人間は読み取る事です。きれいな花も、時が経つと枯れてしまいます。命とか、無常とか花を通じて学ぶ為に、人間の方に向けて飾るのです。
ここに、上田敏全訳詩集(岩波文庫)があります。
その海潮音の中から、「花の教」 クリスティナ・ロセッティの詩を引用。
花の教 上田敏訳詩
心をとめて窺えば花自(おのづか)ら教あり。
朝露の野薔薇のいへる、
「艶なりや、われらの姿、
刺(とげ)に生(お)ふる色香とも知れ。」
麦生のひまに芥子のいふ、
「せめては紅きはしも見よ、
そばめられたる身なれども、
験ある露の薬水を
盛りささげたる盃ぞ。」
この時、百合は追風に、
「見よ、人、われは言葉なく
法を説くなり。」
みづからなせる葉陰より、
声もかすかに菫草(すみれぐさ)、
「人はあだなる香をきけど、
われらの示す教暁(おしえさと)らじ。」
クリスティナ・ロセッティ
言葉なく、法を説く花々にわれら人間はもっと耳を傾けようではありませんか。地球温暖化の危機を告げているのも確かです。