カテゴリ「色の世界」で、その時々の色を話題に「今日のお色目」として来ましたが、今回から「いろ波」としてご紹介して行きたいと存じます。
スーパーや八百屋さんに、蜜柑などの柑橘類がならび、冬至(今月22日)には、ゆず湯につかって冬の健康に備えます。
「蜜柑色(みかんいろ)」は、文字通り蜜柑の色でポピュラーな色名です。
柑子蜜柑といって、日本原産の蜜柑のこと。柑子色(こうじいろ)と言う色名で古くから呼ばれていたが、蜜柑色といわれるようになったのも古い。
平安朝の柑子色が現代の蜜柑色であろう。
源氏物語には萱草色(かんぞういろ)と称されている。これは柑子や蜜柑の色でなく黄色から橙色(だいだいいろ)の百合に似た小さな花の色で、一日で凋むところから、平安朝の人々は、この花の色に染めた「萱草の襲(かさね)」を喪に服すときの色としたと言う。
色名の根拠や出自はともかく、同じ色相である。オレンジ色というのも、現代はよく口にされるが、このオレンジよりも幾分黄みを帯びているのが、柑子色や蜜柑色である。
さて、この色をきものに用いるとすると、黄赤系の彩度の高い色でストレートに色無地のきものに染めると派手な感じで帯あわせが難しくなる。
同じ系統の色と言うことで、トーンダウンした色を用いる。そして生地も、光る素材のものでなく紬の無地のような生地で落ち着いた感じにしたい。 もちろん きものを着る方の好みで、明るくぱーとしたのが似合う場合もあるのですが。
そして誂え染めの場合必ず、染め見本は布(絹布)に染まったもので指定して染める。それもなるだけ大きな染め色見本が望ましい。
小さな布見本でイメージしたものが、反物に染め上がって想定外の色になる。まして印刷された色見本(カラーチップ)や、グラビアのカラー写真をもいで、この色と言われた場合は、布の見本帳の中で最も近い色に置き換えて確認しないと、染屋さんの職人さんはは受け付けない。
日本の色は、天然自然の色、主に植物からその名をとっている。そして染料も、草木染などに見るとおり、植物染料である。
化学染料になってからも、色名は伝統色の名で呼ばれている。
余談だが、映画がカラーになった時、「総天然色でワイドスクリーン」の迫力に胸躍らせて映画館に通った時代があった。
今は、何でもカラーだから、テレビも新聞も、年賀状?も総天然色で、はじめてカラーになった時の映画のような感動はない。
そこへ行くと、きものは昔からすべて総天然色だったから、すごい。
ところで、「いろ波」は、色と きものの結びつきを投稿して参りますのでどうぞ今後とも ご贔屓に願いあげます。
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