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いろ波・10 若苗色

2007年04月24日 | 色の世界

若苗色(わかなえいろ)

日本の色は、季節と共に移り変ってゆく。

自然と人、農耕、暦、天文。 文学、季語。心情、心象。さまざまな関わりの中に色がある。いや、色の中に全てがあり、全ては空という。

野菜や、花木の苗は、春の季語「苗床」。

 苗床やおなじ二葉の茄子胡瓜(なすきうり) 斉藤雨意

一方 水稲の苗は夏の季語「早苗」。「さなえ」とは、優しい響の日本語である。女子の名前にも多く用いられる。「さつき」「さなえづき」は五月の異称として、馴染み深い。

 早苗束濃緑植田浅緑 高野素十

漢字ばかり並んで、束ねた早苗の濃き緑と、その早苗が水田に植えられて、田を渡る風に浅緑に輝く色の対比が面白く詠じられている。

機械化で、田植えのさまも変り、苗代から田圃に運ばれてくるのもパレットにのってトラクター?で。情緒はなくなっても、若苗色の色は変らない。

そんな早苗の色を昔から「若苗色」と言う。

襲の色目の若苗は、「表裏淡萌黄」、「表淡青、裏黄」「表裏淡木賊」など、黄緑をイメージしている。

田圃に植えられて、若苗も幾分生長して、しっかり根付いたころ、緑も一段と濃くなり「苗色」となる。若苗色と苗色は、おなじ色とも言われるが、しかし柔らかい早苗の色と、生長した若い苗と区別したい気持ちになる。


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2 コメント

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日本語って感性豊かですね (okan)
2007-04-24 03:13:18
日本語って感性豊かですね
繊細な感じがよく出ていて、文章だけでも十分その色味は伝わります
私は若苗色は知りませんでした、また一つ賢くなりましたm(__)m
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okanさん。お早うございます。 (吉天爺)
2007-04-24 10:14:35
okanさん。お早うございます。
5月のはじめに、近江の実家へ参ります。そのころ、田植えで(機械の)若苗見られますことと思います。水を張った田圃に、早乙女ならぬ、サトラ?(早・トラクター)がつぎつぎと機械的に苗をさして行きます。
苗の色は昔も今も変らぬことでしょう。
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