茄子紺(なすこん)
「親の意見と茄子の花は、千に一つもむだはない」。
茄子にはむだ花がなく、花が咲くと必ず実がなるように、親が子にする意見には決してむだがない。と言うことわざ。昨今はどうか?親はしっかりと子に意見が出来るか、子は素直に聴くか。
吉天の通る「哲学の道」の傍ら、畑の茄子も、もう色の良い実がなっている。茄子は成すに通じ、「一富士二鷹三茄子」と初夢に見る縁起物。
さて今回は、色の良い茄子のような「茄子紺」について。
江戸時代、染物屋が繁盛し忙しくてなかなか期日とおりに出来なくて、あさって、あさってと一日伸ばしになり、あてにならぬことの喩えに「紺屋(こんや・こうや)のあさって」と言われた。又お客の染物が忙しくて自分の物を染めるのに手が回らなくて「紺屋の白袴」とも言う。
濃い藍染は、紺であり赤みの多い紺を「茄子紺」。
緑ぎみの紺色は「鉄紺」。青みの多い紺を「紺青(こんじょう)」と称している。
もともと濃い藍染は、染色したては、表面にかなり強い赤みが浮いて見えて、茄子紺に近い色に見えるが、年月を経て赤みが失せてしまう。この天然藍に含んでいる赤の色素はインヂゴ・レッドといって不安定な色素。
茄子紺を染めるには、藍の他に特に赤染めの染料を併用する。
ちなみに吉岡幸雄氏の茄子紺は、紫根(椿灰)×日本茜(椿灰)と、記されている。
茄子はインド原産の野菜で、英語でもエッグプラント(eggplant)と言う色名が1915年に出来たそうである。茄子色と言う事で植物の色から連想するのが、洋の東西を問わず表現の早道らしい。
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