『あざみの歌』は まだ歌えますか

泣いて、笑って、歌って介護!!そんな日常の過去の記録と
新たに今一度自らを見つめてぼちぼちと戯言なりを綴ります。

出来る事

2007年01月11日 02時51分01秒 | かぁちゃんにまつわる話
                

最近かぁちゃんが凝っている 『K』 
あんまり一生懸命書き続けているので、ベッドに上ってかぁちゃんサイドから撮ってみた。
何故か、漢字でもひらがなでもなく、自分のイニシャルの 『K』
わは・・・はいからさ~ん。
でもあんまり、K、K って書くと「マザー!!」と叫びたくなる
(↑これを分かった方、かなりマニアックです )


「勉強してるの?」と聞くと、こくりと頷いて書き続ける様子を見ていたら、
何だか、うるうるして来てしまった・・・なので、
今年がまだ新品のうちに、かぁちゃんが、今まだ出来る事を書き留めておこう。

一日の大半は、座ったままうとうとする事が多くなってから久しいけど、
かぁちゃんが覚醒している時はテレビをぼんやり観ているか、
レコードを聴きながら、手渡したジャケットを眺めているか、
あるいは私が広げた大学ノートにペンで書をしたためているか。

もう、ほとんど言葉を発しなくなって来てはいるけれど、
家にいる時の時間の過ごし方は、以前とあまり変わってはいない。
それぞれの理解能力は確かに衰えてはいると思うけど、
喋れなくなった事で、私に伝わらないだけで、もしかしたら全てお見通しかも~

握りこぶしのまま固まってしまった左手は、握り締めすぎて第一関節が反りあがり、
手で触ると、骨が変形してしまって機能的には働かないけど、
有難い事に右手は健在!筆圧は弱くなったけど、ペンもしっかり持つ事が出来る

時折、ペンが手から離れてしまうと、しばらくは目に見えないペンで書いてるけど、
そのうち、傍らに置いてあるカップからストローを抜き取り、
ストローから滴る水滴で優雅に水墨画ならぬ、水茶画をたしなんだりも出来る

手をひけばちょこちょこ歩けるし、途中で何度か止まるけど、階段の昇り降りも出来る

お出かけするときに鏡の前で「はい、自分で塗って。」と口紅を渡すと
しばらくじ~っと見つめた後で、ちゃんと塗る事が出来る
で、「はい~っ、まんまんまんってして。」と顔を覗き込みながら言うと、
唇をぱふぱふ開け閉め・・・しようと・・・する事もできる

そして何よりパーフェクトなのが箸使い。
途中でとろとろ眠ってしまっても、箸だけはしっかり持つ事が出来る
口に運ぶのを忘れても、お皿からお皿へちゃんと箸で移動して遊ぶ事が出来る
お豆さんだってご飯粒だってちゃんとつまむ事ができる
・・・こちらが箸を取り上げない限りはずっとやり続けてしまうけど・・・。


夜中に、異次元の言葉を巧みにあやつり私には見えない誰かとおしゃべり出来る
でもって「あざみの歌」を歌詞も音程も外さずにしっかり歌う事が出来る

そして、時々、突然はっきりと意味のある言葉を喋って私を驚かせ、
「うふふっ」の魔法で笑わせる事だって出来る


68歳でアルツハイマーの中期ですよ~って言われてから、今年で5年目になる。
確かに症状は進んでいるし、進み方が早いのか遅いのかなんて分からないけど、
でも、まだまだ出来る事はある。
今出来る事を忘れてしまわないように、なるべく長くし続ける事が出来るように
私はそれを見守る事だけは出来る。
先の事を予測するのは面倒なのでしたくない
先の事より、今の「うふふ」の方が私には大切だしね。

それにしても、じわじわと年月を重ねて、
私の中の長年の親に対するよろしくない感情を徐々に取り除いていくとこなんざ・・・
なかなか、かぁちゃん、大した物である
コメント (8)
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