国際情勢の分析と予測

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サルコジ大統領の「地中海連合」構想で、米英両国のシーパワーによる地中海支配は終焉した?

2007年06月01日 | 欧州
5月31日付けの日経で、サルコジ仏大統領の「地中海連合」構想に関する記事がある。記事では「トルコとの良好な関係維持も狙う」としているが、実際にはトルコ側は「トルコのEU加盟を拒否するための陰謀」とみなし激怒している。日経はトルコとEUの関係悪化という欧米やトルコのマスコミで多数報道されている事実を伏せたい様だ。トルコ首相の外交補佐官は「EUへの加盟交渉を開始した国は全てが最終的に加盟しており、トルコだけが例外になれば世界の15億人のイスラム教徒に非常に悪いメッセージを送ることになる。」と主張しているが、アラブ系、ペルシャ系、マレー系のイスラム教徒たちは決してEU加盟を望んではいないと思われる。イスラエルも近い将来に東欧系ユダヤ人がEUに引き取られれば後に残るスファラディは「ユダヤ教を信仰するアラブ人」である。中東工科大学の教授は「イスラエル、トルコ、モロッコといった政治的・言語的・文化的に余りに多様な国々をまとめるのは困難であり、この構想は失敗する運命にある」と主張するが、私はこの構想は成功し、地中海の北側の巨大なEUと南側の巨大なアラブ連合、トルコの東の巨大なペルシャ連合の三つの巨大組織に囲まれて孤立する小国トルコを生み出すと想像する。 トルコ問題の他にもう一つ重要なのは、この構想にはシーパワーの米英両国が関与していないことである。ジブラルタルやキプロス島の軍事基地を経てイスラエル・スエズ地峡に至るイギリスの軍事的影響力は、大英帝国の時代から第二次大戦後まで維持され続けており、まさに地中海帝国と呼ぶに相応しい強大なものであった。スエズ戦争後は英国の力は低下したが米国の影響力が強まり、地中海はアングロサクソンの海であり続けた。サルコジ大統領の登場と共に地中海の支配者が米英(国際金融資本)からフランスを中心とするラテン民族に交代したことを意味するのではないかと思われる。 最後にもう一つ重要な点は、この「地中海連合」にはドイツもロシアも参加していないことである。IHTのフランス外交官の発言と合わせて考えると、独仏両国はアジア+アフリカの二大陸を二分割し、ドイツは欧州の東側、フランスは欧州の南側を担当することで役割分担が成立しているのだと思われる。 . . . 本文を読む
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