国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

影島・巨済島・蔚山:韓国のシーパワーの拠点

2007年06月18日 | 韓国・北朝鮮
世界一の規模を誇る韓国の造船業は、巨済島と蔚山の二カ所が中心である。また、韓国第一の貿易規模を誇る港湾である釜山港は、影島と本土に挟まれた海域であり、影島と本土を結ぶ影島大橋によって南北に分断されている。韓国のシーパワーは釜山港・巨済島・蔚山の三カ所が拠点である様に思われる。このうち蔚山は大陸の一部だが、巨済島・影島は橋によって大陸と繋がった島であることが特徴である。 第二次大戦後の中国がランドパワーとシーパワーに明確に分断されたのとは対照的に、第二次大戦後の朝鮮はランドパワーの北vsランドパワー・シーパワー折衷の南という分断形式となり、巨大な陸軍を有する一方で世界有数の造船能力と釜山港という良港を有するようになった。 今や韓国からの米軍撤退が近づき、日本も韓国に陸軍を駐留させる意図はないことから、韓国が北朝鮮と統一して安定した国家を形成するという未来像が予想される。しかし、歴史を振り返ると朝鮮半島統一国家は常にランドパワーであり、シーパワーであった時期はなかった。統一朝鮮国家はシーパワーを運営した経験が無く、それは大きな不安定要因になると想像される。例えば韓国がユーラシアの超大国の一つと同盟を結んだ上で、その造船能力を生かして多数の海軍艦船を建造し釜山周辺海域にそれを集中するならば、日本は朝鮮海峡を事実上封鎖されかねない。この危惧は蒙古襲来や日露戦争時の日本海海戦を想像して貰えばよいだろう。 これは私の妄想だが、統一朝鮮半島国家を純粋なランドパワーにして安定させるためにも、済州島・鬱陵島に加えて影島・巨済島などの大陸に近い諸島を領土とするシーパワーの小国を建国させることはできないものだろうか?もしそれが可能になれば、影島・巨済島と大陸の間に軍事境界線が引かれることによって釜山の港湾機能は消滅し、朝鮮半島国家は李氏朝鮮と同様の純粋なランドパワーに回帰する。朝鮮半島南岸のシーパワー国家は人口せいぜい200万人程度だろうから、日本の支援で国家を維持するのは不可能ではないだろう。結果として38度線の軍事境界線が半島南岸に移動することになる。 魏志倭人伝で「倭国の北岸」とされる狗邪韓国は、実は巨済島ではないかという説もある。影島は日本人の駐留施設である倭館が最初に設置された場所であるという。我々日本人は、巨済島や影島の戦略的重要性を再認識すべきではないか。 . . . 本文を読む
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