国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

ルーマニアに統合されるモルドバ:東方へまた一歩拡大するEU

2009年09月25日 | 欧州
7月に行われたモルドバの総選挙で共産党が敗北し、親欧州の野党連合が勝利した。野党連合のミハイ・ギムプ議長(大統領代行も兼任)は、ルーマニアとの統合支持を明言している。この背景には、ルーマニアのEU加盟以降、ルーマニア国籍の取得申請をするモルドバ国民が急増していることが挙げられると思われる。国民のルーマニアへの流出を防ぐ方法は、もはや統合以外に存在しないと言う判断があると思われる。EU加盟には経済的水準が低すぎるモルドバが、ルーマニアとの統合により早期にEU圏内に入ることができるという算段もあるだろう。そして、モルドバのルーマニアへの統合によってEUは東側へ更に一歩拡大することになる。 ロシア系住民の多い沿ドニエストルは国際的には承認されていないものの、モルドバ政府の統治を受けていない地域である。キプロス共和国の北キプロスと似た存在であり、EUへの統合の障害にはならないと思われる。むしろ、沿ドニエストルを支援するロシアが弱い立場になると想像される。また、モルドバのEU圏内入りは隣接するウクライナに早期のEU加盟への希望を与え、それに反対するロシアとの間で対立が深まると思われる。 将来的には、北方領土の返還と共にカレリアがフィンランドに返還され、東プロイセンが欧州出身のイスラエル人の避難先としてロシアからドイツに返還される様な事態が想定されるが、沿ドニエストルとグルジア共和国の南オセチア・アブハジアの三地域はロシアの西側への橋頭堡として残ると思われる。この三地域の問題は、ロシアのEU加盟によってのみ解決可能であろう。 . . . 本文を読む
コメント (1)