国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

中国の国民貯蓄率はなぜ高いのか:中国の内需拡大がうまくいかない理由

2009年09月30日 | 中国
中国は貯蓄率が非常に高く、それが膨大な貿易黒字に繋がっている。世界的景気後退の中で、現在の中国に求められているのは内需拡大であり、その為には貯蓄を減らして消費を増やす必要がある。2005年の国内貯蓄率(対GDP比)は48.1%に達しているが、この一部が消費に向かうだけで中国は内需の劇的拡大を成就できるのだ。 しかし、現実には中国の貯蓄率は高止まりしており、内需拡大の障壁であり続けている。この原因を分析したのが冒頭の張 明氏の論文である。それによると、政府の消費支出が低く、特に教育や医療、社会保障などへの支出が限られているため、個人の間では将来の生活に対する不安が広がっており、これに備えることが貯蓄の強い動機となっていること、中国では企業部門や政府部門の貯蓄が多すぎること、各部門の貯蓄が代替できないことが挙げられている。中国の高貯蓄率は構造的なものであることが示されている。 現在はこの高貯蓄率は外貨準備への米国債積み上げと言う形で処理されている。しかし、近い将来に米国が破綻しドルが暴落すると、中国はドルと元のペッグから離脱せざるを得なくなる。欧州も保護主義に向かい、中国は欧米という工業製品の輸出先を失って大恐慌に陥るだろう。十三億という膨大な人口を抱えながら内需を拡大できず輸出に頼るしかないという中国の弱点が、結果的に中国を滅亡させることになるのだ。そして、大恐慌下の中国では上海を筆頭とする沿海地域が北京政府から独立し、社会保障の充実や議会制民主主義の導入を含めた社会民主主義的国家を目指してゆくことになると想像する。 . . . 本文を読む
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