国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

来るべき世界経済の二番底、三番底、四番底・・・・

2009年11月12日 | 経済
昨年秋に始まった世界不況は、主要国の財政支出増によって底打ちしており、一番底となっている。しかし、財政支出増が中止される来年には世界不況が再び悪化し、二番底を形成することだろう。世界不況が一挙に起こるのではなく、階段を下りるように起こっているのが現状であるが、この御陰で不況が企業や被雇用者に与えるダメージがより小さくなっていると思われる。これも世界支配階層が決定したことなのだろう。だとすれば、今後世界不況の三番底、四番底・・・・・が起きると予想される。中国元のドルペッグ離脱、欧米の商業用不動産の価格下落、米軍のユーラシア大陸からの撤退に伴うドル安などが階段を下りるように起こる世界不況の原因になりうるだろう。その中でも、最も段差が大きいのが、田中宇氏の言うように、中国元のドルペッグ離脱であろう。 現在の世界では中国が疑似ドル圏になっており、これがドルの下落を緩やかなものにしている。これが米中G2体制の本質である。しかし、この体制が永遠に継続することはない。紙切れに過ぎないドルを積み上げる現在の体制が維持されているのは単に中国が経済を維持するのに役立っているためである。ドル安が進むと中国国内でもインフレが起こるデメリットもあり、ある時点で中国はドルペッグからの離脱を決定するだろう。その際には、田中宇氏の言うように、国際機関での中国の地位の上昇も伴っていることだろう。 不況が階段を下りるように深刻化するにつれ、先進国では途上国からの輸出を阻止する傾向が強まると予想される。安価な途上国産品の輸入を止めて自国産品に置き換えれば失業問題を改善できるからだ。環境問題、安全問題など、理由はいくらでも見つかる。この保護主義のため、輸出依存型経済の中国は大打撃を受ける。本来ならば内需中心型経済に移行すべきなのだがそれが出来ない以上、現在の中国の体制は崩壊せざるを得ない。その後には、国内の巨大な貧富の差が国を分裂させることになり、沿海部富裕地域が独立してゆくことだろう。日本は沿海部に集中的に投資することで中国国内の貧富の格差を拡大させることを続けてきており、将来の中国分裂を促進することがその目的であったのだと思われる。 . . . 本文を読む
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