国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

中国が狙う4つのシーレーン

2010年12月17日 | 中国
谷口智彦氏は、中国から北海道・千島近海を抜けて北米西海岸に至るシーレーンと、南西諸島周辺海域・フィジー近辺を経て南米に至るシーレーンの二つのシーレーンの重要性を取り上げている。事実、中国から北米西岸への貨物船は対馬海峡・津軽海峡を経て北海道・千島列島の南海上を行き来している。また、谷口智彦氏は中国のアイスランド支援を取り上げて北極海航路への布石と認識しているが、このシーレーンも北米西海岸に至るシーレーンと日本近海では同じ場所を辿る。この三つのシーレーンは日本近海を経由しており、中国の対外貿易に非常に重要であることから、今後制海権を巡って日本陣営と中国の間で激しい競争が起きることが予想される。 その他、中国はユーロ圏のPIGSと呼ばれる問題国家のうちで、ギリシャとポルトガルは支援を表明しているが、アイルランドに対しては支援を表明していない。このことは、中国が南シナ海・インド洋・紅海・地中海を経てオランダのユーロポートに至るシーレーンを支配しようと考えていることを示していると思われる。既に中国はミャンマー・スリランカ・パキスタンなどに港湾施設を確保して中東からの石油輸入ルートの支配を狙っているが、ギリシャ・ポルトガル支援はインド洋だけでなく地中海・大西洋も中国が支配する意図の反映であると思われる。アイルランドはこのシーレーンから外れているので支援対象外なのではないだろうかと思われる。また、今後スペインが支援を必要とする状態になれば、ジブラルタル海峡を支配するために中国は支援を申し出ることだろう。 このように考えると、中国の海洋戦略は、ユーラシア大陸の北回りと南回りの東西海運ルートと、北米航路、南米航路の4つが柱になると思われる。日本としてはこの4つの航路を中国に支配されないようにする必要がある。 . . . 本文を読む
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