『我が味方の心強き協力により』と手紙は続いていた。『この気位高き娘を非常に危険かつ悲惨な状況に置き、一人では脱出できぬと思われるその状況の中で、あわやというその瞬間に小生が駆け付け彼女を救い出す……さすれば感謝の念が必ずや奇跡を導くことであろう。それはこちらにとり祝着至極……』
『すべては順調に運ぶものと存ずる。しかしながら、ド・C氏を臨終まで診られた医師、貴下は確かドクター・ジョドンとか申されたと記憶しておるが、その方の御助力あれば尚更に事は上首尾に運ばんものと存ずる。かの御仁はどのような方でおられるか? もしも数千フランの札束で心動かさるる人物ならば、これはもうはっきり断言いたそう。この件はもう成功したも同然、と……』
『貴下のこれまでの振る舞いは真に見事なもの。必ずやその報償は貴下の期待以上のものとなろう……。親愛なるマダム、小生が恩を忘れぬ男であることが分かって頂けよう。F夫妻にはこれまで通り小細工を弄させておくがよろしい。必要ならば彼らの味方であるかのように振る舞うもよし……彼らのことは心配するに足らぬ……彼らが何を目論んでおるか察しはついておる……彼らが何故息子と彼女を結婚させたいかも……彼らが邪魔になれば、すぐさまコップを割るごとく木っ端みじんにしてくれよう……』
『今後の貴下の行動方針について書面で伝えることは可能といえども、直接面談は必須と存ずる。従って、明後日、火曜日、三時から四時の間貴下をお待ち申す。必ずジョドン医師に関する情報を忘れず持参くだされたく。
早々、V……』
追伸として次のような文言があった。
『当方に来訪の際、この書面を持参されたし。貴下の立ち合いのもと、我ら両者でこれを焼却いたしたいと存ずる……努々、貴下を疑うものではないことをここに断言する。紙切れほど信用のならないものは外になしと存ずる故なり……』
一分以上も、マルグリット嬢は立ち尽くしていた。ド・ヴァロルセイ侯爵の破廉恥な図々しさに圧倒され、この手紙の漠然とではあるが実に明確な内容、その各行が彼女の将来を脅かすものであることに茫然としていた。現実の酷さは彼女の不安を遥かに上回るものだった。
しかし状況の深刻さを理解した彼女は、茫然自失の状態を振り払った。この一瞬一瞬がいかに貴重であるか、すぐにこの場で決断を下すことがいかに重要か分かったからだ。しかし何をどうすべきか?7.13
『すべては順調に運ぶものと存ずる。しかしながら、ド・C氏を臨終まで診られた医師、貴下は確かドクター・ジョドンとか申されたと記憶しておるが、その方の御助力あれば尚更に事は上首尾に運ばんものと存ずる。かの御仁はどのような方でおられるか? もしも数千フランの札束で心動かさるる人物ならば、これはもうはっきり断言いたそう。この件はもう成功したも同然、と……』
『貴下のこれまでの振る舞いは真に見事なもの。必ずやその報償は貴下の期待以上のものとなろう……。親愛なるマダム、小生が恩を忘れぬ男であることが分かって頂けよう。F夫妻にはこれまで通り小細工を弄させておくがよろしい。必要ならば彼らの味方であるかのように振る舞うもよし……彼らのことは心配するに足らぬ……彼らが何を目論んでおるか察しはついておる……彼らが何故息子と彼女を結婚させたいかも……彼らが邪魔になれば、すぐさまコップを割るごとく木っ端みじんにしてくれよう……』
『今後の貴下の行動方針について書面で伝えることは可能といえども、直接面談は必須と存ずる。従って、明後日、火曜日、三時から四時の間貴下をお待ち申す。必ずジョドン医師に関する情報を忘れず持参くだされたく。
早々、V……』
追伸として次のような文言があった。
『当方に来訪の際、この書面を持参されたし。貴下の立ち合いのもと、我ら両者でこれを焼却いたしたいと存ずる……努々、貴下を疑うものではないことをここに断言する。紙切れほど信用のならないものは外になしと存ずる故なり……』
一分以上も、マルグリット嬢は立ち尽くしていた。ド・ヴァロルセイ侯爵の破廉恥な図々しさに圧倒され、この手紙の漠然とではあるが実に明確な内容、その各行が彼女の将来を脅かすものであることに茫然としていた。現実の酷さは彼女の不安を遥かに上回るものだった。
しかし状況の深刻さを理解した彼女は、茫然自失の状態を振り払った。この一瞬一瞬がいかに貴重であるか、すぐにこの場で決断を下すことがいかに重要か分かったからだ。しかし何をどうすべきか?7.13