計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

そろそろ冬の訪れを感じる・・・

2010年11月05日 | 気象情報の現場から
 暦も11月に入りました。そろそろ「冬」を意識し始める頃ですね。そうなるとやはり気になるのが、来る冬は大雪になるか否か・・・。現段階では、まだはっきりした事は言えませんが、やはり気になる所です。そんなわけで、長期予報の資料も気に掛けている今日この頃です。

 少し大雑把かつ感覚的な話ですが、地球の地軸が公転面に対して傾いている事情を考慮すると、北半球に中緯度付近に位置する日本の気候は、夏の傾向は「より南側」の影響力の方がドミナントとなる一方、冬の傾向は「より北側」の影響力の方がドミナントと考えられないか・・・と最近感じています。

 夏の間は北半球の広い範囲が太陽放射を多く受けることが出来るため、北半球ではハドレー循環がより強化されやすくます。しかし、冬になると北半球で太陽放射を多く受けることが出来るのは低緯度の方に限られるため、その分、北極付近の極循環の影響力がより増してくる、とイメージを描く事も出来ます。

 この結果、ハドレー循環と極循環の間に挟まれた中緯度地方(ここでは日本を考えます)の気象の傾向は、いわば「北側と南側の主導権争い」に巻き込まれる形となります。すなわち、夏は南側の要因(熱帯寄りの海洋やハドレー循環)が主導権を握るため南からの暖気等の影響を受けやすくなる一方、冬は北側の(北極より)要因が主導権を握るため北からの寒気等の影響を受けやすくなる・・・と言うイメージです。但し、これはかなり大雑把な構図です。

 これから訪れる冬の場合は、南側の要因としてラ・ニーニャ(寒冬傾向)となるので、北側の要因として、もしAO-(寒冬傾向)に傾けば、大雪の可能性が高まります。しかし、AO+(非寒冬傾向)に傾くと、大雪の可能性の判断は難しくなりそうです。

 この前の冬は南側では「エルニーニョ(暖冬傾向)」+北側では「AO-(寒冬傾向)」の組合せで、当初の「暖冬傾向」の予想とは裏腹に大雪に見舞われた地域もありました。従って、主導権を持つであろう「北側」の出方を、注意深く見極めていく必要があるのです。その一方で、過去の傾向からラ・ニーニャ時に雪が多くなる確率は約60%と言われているので「(とりあえず)大雪の可能性は否定できない」の立場で様子を見ています。

 でも、できれば大雪は勘弁してもらいたい・・・と言うのが雪国の生活者としての本音です。

 そういえば、英検の2次試験まであと1週間程です・・・。


コメント
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