◎賢者の石、第五元素など
悟りとは、個人が宇宙全体に逆転すること。
西洋錬金術の最終目的は、土くれたる肉体が黄金に変成すること。それは、実は悟りのこと。そのために必要な最後のトッピングは、賢者の石とも第五元素ともチンキとも言う。
最後のトッピングは、発見する手順はあるらしく、その形状・色などは伝えられているが、どちらもはっきりしていない。
禅では、いきなり法に飛び込むため、大悟の直前になにか共通するこつのようなものがあるだろうと修行者は誰もが考えるので、禅関策進のような悟りの直前直後の様子集のようなものが作られた。
実際は、鍵をがちゃりと置いた音で悟ったり、投げた石が竹に当たりカーンと音がしたので悟ったり、背中を壁にのっかかろうとしたら壁がなくて後ろに倒れて悟ったりなどなど様々であり、一定のパターンなどないと言ってよい。
またこの世界でよく言われるのは、最後の一歩は自分で登らなくてはならないということ。
頭頂の封印は、師匠筋が切ってくれるのだろうが、誰かが引っ張り上げてくれるわけではなく、自分が登らなければならない。
こうしたものを考え合わせると、必要な最後のトッピングは外から来るのかもしれないが、実はそこへ至る準備と最後の一段は、自分で登らなければならないのだろうということ。
ソーマ・パイロットの言葉でも、水先案内すなわちパイロットはソーマがやるが、明らかに最終ステップは自分で履むのだろう。
最後のトッピングさえあれば何とかなると信じて努力する錬金術師も古来無数にいたのだろうが、それまでの準備と最後の一歩の勇気は同様に問われるのだろう。
ダンテス・ダイジは、悟った人のことを、あらゆる実感を経た者と呼んでいたが、いきなり最後のトッピングがゲットできるものではないことを暗に言っている。